死亡事故の遺族が弁護士の説明で安心した事例

1.事故発生
被害者の方は、70歳代の主婦の方でした。道路を横断中に、直進してきた自動車に衝突されて、頭を強く地面に打ちつけて死亡しました。
横断歩道のない道路でしたが、被害者の方は、道路の中央線付近で停止して、道路の反対側にわたる機会を待っていたところ、直進してきた自動車が、被害者に気がつかずに衝突したのです。
被害者の家族の方は、突然に警察から
「ご家族の方が交通事故で亡くなりました…」
という連絡を受けて、あわてて救急病院に駆けつけたのです。
家族が駆けつけたときには、すでに被害者の方は亡くなっていました。
「お母さんに最後のお別れを言う時間もなかった…」
家族の方は、それが心残りであったといいます。
2.依頼・相談の経緯
自動車を運転していた加害者は、被害者の家族に一度も謝罪にきませんでした。
被害者の家族は、加害者が謝罪にきたとしても、許せませんから追い返すつもりでしたが、そもそも謝罪にこないという加害者の対応は、とうてい許すことができませんでした。
そこで、被害者の家族は弁護士に相談にこられました。
「交通事故で家族が死亡したのは初めてです。どうしたらいいのかわかりません」
そう言う被害者の家族の方に、弁護士は、交通事故の事件の解決が、どう始まって、どのように進んでいくのかということを、丁寧に説明しました。
「ああ、なるほど、交通事故の全体像がわかって安心しました」
「何もわからなかったので、目の前にかかっていた霧が晴れたような気がします」
被害者の家族の方は、弁護士に相談したことで、心の平静をとりもどしたようです。
3.当事務所の活動
弁護士は、まず刑事事件から関与することになりました。
被害者側の刑事事件の場合に課題となるのは、
「どのようにして、被害者の気持ちを警察の方に理解してもらうか」
ということでした。
そのため、弁護士は被害者が警察に事情聴取のために呼ばれたときに、事前に予行練習をおこないました。
「こういう場合には、警察は、被害者の家族に、加害者に対する処罰感情を聞くことになります」
弁護士は、死亡事故も数多くあつかってきましたから、警察がどういうことを質問してくるか、手にとるようにわかっていました。
「加害者を厳しく処罰してほしいときには、厳罰にしてほしい、厳しく処罰してほしい、ということをハッキリと言ってください」
弁護士の指導は、とても明確でした。
ポイントをおさえた指導をしたことで、被害者の家族の方は、自信をもって警察の事情聴取に行くことができました。
そして、実際、警察で聞かれたことも、弁護士から指導を受けたことと、ほとんど同じでした。
被害者の遺族の方は、安心してリラックスして事情聴取を乗り切ることができました。
4.当事務所が関与した結果
被害者の家族の方は、刑事事件という、初めての経験でしたが、弁護士の指導のおかげで安心して乗り切ることができました。
家族が突然、前触れもなく死亡してしまった、という、過酷な体験でしたが、そのなかで弁護士に相談できたことは、大変に心強いものがあったということでした。
刑事事件では、加害者は死亡事故という重大な結果に見合った処罰を受けました。
その後の民事事件においても、弁護士が早い段階から関与したために、有利に交渉をすすめることができました。
民事事件では、実際に裁判をおこなったときの賠償金額が一番高いという傾向があります。
この事件では、実際に裁判をおこなったときの賠償金額に近い金額を加害者側に払わせることに成功しました。
被害者の家族の方は、
「私たちは、損害賠償というような、難しい話は、全くわかりません。家族が死んでしまって大変に落ちこんでいるなか、自分で保険会社の担当の人と交渉するというのは、精神的な負担がとても大変でした。弁護士の方に全てまかせることができて、とても気持ちが楽になりました」
という感想をお持ちであったとのことでした。
5.解決のポイント
弁護士が交通事故発生の直後から相談を受けましたので、当初の段階から、一貫して、被害者の家族の方に、安定した方針を示すことができたのが成功のポイントでした。
被害者の家族の方は、なにをどうしたらいいのか、全くわからない状態ですから、そういうときにこそ、弁護士がしっかりと説明して
「まず最初に刑事手続が始まります。3か月程度で捜査が一段落しますので、その段階で被害者の方に警察が事情聴取をおこないます。
事情聴取で聞かれることは被害感情、処罰意見が中心となってきます…」
というように、「これから起ってくる未来の出来事」を指導できたことで、被害者の家族の方の不安を取り去ることができました。
被害者の心の平静の回復こそ、交通事故の初期段階での弁護士の役割だと思うのです。
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