2か月で示談金800万円から2000万円に大幅アップした事例

1.事故発生
被害者の方は、通勤中に、自転車で大きな道路に設置された歩道を自転車で走行していました。
しかし、被害者の方が、交差点に差し掛かったところ、突然、自動車が飛び出してきて、被害者の方は、はねられてしまいました。
被害者の方は、事故が起こった瞬間には気を失ってしまうほどに強い衝撃を受けたとのことです。
被害者の方は、交通事故により、手術が必要なほどのけがを負い、通院終了後には、後遺傷害等級11級の後遺障害が残ることになりました。
2.依頼・相談の経緯
被害者の方は、治療を終了し、交通事故の後遺障害の等級認定を受けた後、保険会社から示談案を示されました。
「これでいいのですか?」
と、保険会社の担当の方に質問をしましたが、保険会社の方は
「こんなもんです」
「みなさん、これでやっています」
という、ほとんど何の説明にもなっていない説明しかしてくれませんでした。
被害者の方は、正しいと思える示談の金額であれば、とくに争おうという気持ちはなかったのですが、そういう説明では納得できなかったので、弁護士に相談することにしました。
3.当事務所の活動
弁護士が、保険会社が出してきた示談案を確認したところ、保険会社の示談書には、さまざまな問題点があることがわかってきました。
傷害慰謝料が少ない!
被害者の方は、1ヶ月以上入院していました。また、実際に通院した日数は少なかったですが、11か月ほど通院していました。
保険会社は傷害慰謝料として80万円を提案していました。
しかし、傷害慰謝料の額は、弁護士基準の半分以下の額であり、慰謝料が少なすぎると考えました。
弁護士は、
「傷害慰謝料は190万円請求するべきだ」
と考えました。
80万円から190万円という金額の増加は、少し大胆に思われるかもしれません。
しかし、のちに、保険会社は、この190万円に同意することになるのです。
後遺障害の逸失利益が少ない!
逸失利益とは、「将来の休業損害」だと考えてください。
後遺障害によって将来の収入が減少してしまう部分についての賠償です。
この点を保険会社は500万円と提案してきていました。
しかし、弁護士の目はごまかされません。
保険会社が「保険会社にとって有利な計算方法」をとっているのではないか、と疑ったのです。
弁護士が調査してみたところ、やはり、保険会社は、ウソだとまではいえないものの、法律的には正しくない計算方法で提案していたのです。
弁護士が正しく計算したところ逸失利益は2000万円だと計算されました。
「保険会社が500万円だと言っていた金額が2000万円になるのですか!」
被害者の方は、とても驚きました。
後遺障害の逸失利益というものは、少し難しい計算方法を使います。
その分だけ、保険会社が
ごまかす
余地があるともいえる部分なのです。
少々専門的な話をしますと、後遺障害逸失利益について、当初、保険会社は、女性の全年齢平均賃金を基礎として、労度能力喪失期間を7年で計算していました。
しかし、弁護士の方で、確認すると、被害者の方の実際の収入は、女性の全年齢平均賃金よりもかなり多くの収入があったことがわかりました。
そのため、弁護士は、被害者の方の実際の収入を基礎として、また、後遺障害等級10級の後遺障害であることから、さらに長い労働能力喪失期間を基礎として、請求を行いました。
交渉の際に判明したことですが、保険会社は、被害者の方の実際の年収に関する資料を入手していなかったため、女性の全年齢平均賃金を基礎として、逸失利益を算定したようです。
裁判はしない方がよい!
そういうふうに保険会社は、やはり、正しくない提案をしていたのです。
しかし、一方で、裁判にするのかどうか、という点は弁護士も悩みところがありました。
被害者の方にも、裁判にすると弱いと思える部分があったからです。
まず一点目として、被害者が治療期間が長かったわりに実際に通院した日数は、かなり短かったのです。
こういう場合に、もし、裁判となったら相手方の弁護士は
「そんなに通院した日数が短かったのであれば、ケガは、もっと早く治っていたのではないですか?」
という反論をされる可能性があるのです。
そのため、弁護士は、今回の事件については裁判よりも、示談交渉で解決するのが適切であると考えました。
こういうふうに、「もし裁判を起こした場合のデメリット」まで考えて、弁護士は裁判をするかどうかを決めるのです。
4.当事務所が関与した結果
交渉期間、2か月ほどで、被害者の方の満足のいく結果を出すことができました。
交渉の結果、示談金を800万円から2000万円にアップすることができました。
(2000万円は、その時点で保険会社が支払っていた既払金をのぞいた最終支払金額です)
弁護士が交渉したおかげで1200万円も示談金が増加したのです。
5.解決のポイント
弁護士が受任してから、約2か月という短い期間で、1200万円の賠償金額の増額ができたことは、成功と言ってよいと思います。
今回の解決のポイントは、弁護士が保険会社の提案してきた逸失利益のカラクリを見抜いたことです。
最初の段階では、保険会社は、被害者の方の実際の収入を把握していなかったため、最初の示談提案は、かなり低い金額でした。
つまり、保険会社は、少々、手抜きをして示談の提案をしてきたということです。
こういうふうに、有名な保険会社であっても、けっこう、現場の担当者は手抜きをして事実を確認せずに示談の提案をしてくることもあります。
くれぐれも、安易に保険会社を信用してはいけない、ということを心してください。
この記事に関連するページ
● 2か月で賠償金額が2倍になった夫婦の解決事例●味方のはずの自分のかけている保険会社にだまされかけた解決事例