死亡事故。過失割合で勝利。総額8000万円を勝ち取った事例
1.事故発生
ある大学に通っていた男子大学生(被害者)が夜、帰宅中に交通事故に遭いました。
被害者が幹線道路を徒歩で横断中に、加害者の車にひかれ、即死となりました。
加害者の車両の運転手は飲酒運転をしていました。車には運転手のほか、職場の同僚2人が乗車していました。
交通事故発生後、加害者の車は逃走しました。
本件では、飲酒運転による過失と救護義務違反が問われた事案でした。
2.依頼・相談の経緯
当事務所には被害者のご家族から、ホームページを見てご依頼をいただきました。
被害者のお母様の強いご希望で、警察に対して、刑事告訴の手続きをおこないました。
損害賠償の話よりも、まず、加害者を厳しく処罰してほしい、というご意志でした。
交通死亡事故の被害者の遺族の気持ちとしては、当然のことだと思います。

3.当事務所の活動
刑事事件の活動
刑事裁判では、裁判所での遺族の意見陳述が行われました。
一審で1年半程度の実刑判決が出ることになりました。
遺族が非常に厳しい意見陳述をおこなったということもあって、実刑に持ち込めたと思います。
加害者は、刑罰が重いと主張して、控訴しました。
しかし、控訴審でも結果は変わらず、交通死亡事故として実刑が確定しました。
民事事件の活動
民事事件では、まずは自賠責に請求を行いました。
交通死亡事故でしたので、3000万円が支払われました。
これで、まずは、家族が経済的に問題のない状態に復帰できました。
そして、そののち、加害者に対する損害賠償請求の裁判を行いました。

すでに支払い済みの3000万円と合わせると、総額8000万円となります。
大学生の交通死亡事故の事件としては、非常に高額な案件のひとつといえるでしょう。
4.当事務所が関与した結果
民事の裁判では過失割合について特に争われました。
交通事故の被害者が信号のない幹線道路を横断していたことを考えると、30パーセント゛程度の過失が問われてもおかしくありませんでした。
しかし、当方からは、加害者が飲酒運転であったこと、救護義務を怠ったことを指摘し、最終的に被害者の過失0で認められました。
つまり、加害者が100%悪いという判断です。
これも、画期的な判断でした。
当時、議論されていた飲酒運転による交通事故の重罰化に寄与できたのではないかと考えています。
被害者の意見陳述制度を利用して法的に意見を述べる場を与えた点などに関与して、交通死亡事故の場合、放置されがちな被害者遺族の気持ちをケアできたと思います。
5.解決のポイント
刑事事件では、被害者サイドから、積極的にはたらきかけることによって、加害者の実刑判決を取得することができました。
交通事故の民事事件では、被害者の過失も本来なら多少はあった案件ですが、加害者側が悪すぎるということを熱心に主張した結果、非常によい判決を受けることができました。