腰椎捻挫の障害




交通事故により体のあらゆる部分で捻挫が起きる可能性があります。

そもそも、『捻挫とは何か?』と聞かれた際に、「足首とか指の関節が痛くなることでしょう?」と、なんとなくあいまいな答えが多く、正しく答えられる人は少ないのではないでしょうか?


捻挫とは「ひねること」、「くじくこと」


捻挫とは名前の通り、『捻(ひね)り挫(くじ)く』ことです。

『捻る』は『からだの一部をねじって向きを変える』、『挫く』は『手足の関節などに無理な力が加わって、関節やその周りを痛める』と言う意味で、挫くだけで捻挫と同義を表します。

つまり関節であれば捻挫が起きる可能性があり、体の関節は約260個と言われていますので、どこで捻挫が起きてもおかしくないと言えます。

交通事故において、腰は首と並んで捻挫が起きやすい部首と言えます。

腰は体の中でも少し特殊な形態をしていることが原因で、捻挫が置きやすいです。


人は直立歩行をしているため、腰がかかる負担はかなりの重量になります。

それであるにもかかわらず、背骨のほかに上半身を支えるのは、腰と腹部の筋肉になります。

人体骨格標本を思い浮かべた方なら、腹腰部は背骨以外はスカスカと言うべきほど、何もない事が分かると思います。


そのため、交通事故で体に大きな衝撃が加わった際に、どこに衝撃が集中するかと言うと、振れやすい構造をしている首と腰になります。

歩行者対自動車の交通事故では、歩行者が受傷しやすい個所が、自動車のフロントバンパーが一番に初めに当たるのが腰ですし、自動車対自動車の事故でシートベルトをしていても腰への衝撃は大きく、きちんとシートベルトを装着していない場合には、さらに首や腰を含む体全体が揺さぶられるため、腰椎捻挫になりやすいと言えます。

 

腰椎の特別な点


腰椎捻挫が他の部位と違い、痛みを感じやすい・痛みが長引きやすい理由として、腰椎の中に脊髄が通っていることが挙げられます。

脊髄は脳と直結している神経の束で、脊髄から腕や内臓・足などのあらゆる器官の隅々まで伸びています。

腰椎捻挫で背骨の位置がずれたり、腫れなどから腰椎内の脊髄を圧迫してしまうと、痛みだけでなく麻痺や感覚麻痺の症状が出ることがあります。

軽度のずれや腫れであれば、牽引で正しい位置に背骨を戻したり、消炎効果のある薬で腫れを抑えたりして治すことができますが、ひどい場合には手術も視野に入れなければいけません。

「椎間板ヘルニア」は治療に時間がかかる


腰椎捻挫を起因とする傷病で、脊髄圧迫と並んで起こりやすいのが、『椎間板ヘルニア』です。

椎間板とは、背骨と背骨の間にあるゼラチン状のコラーゲンで出来た軟骨で、いわゆるクッションの役割をしています。

椎間板ヘルニアとは、交通事故の際の衝撃で正しい位置である背骨の間から飛び出してしまい、背骨と背骨同士が直接当たったり、椎間板が脊髄を圧迫したりして、腰に痛みや麻痺を引き起こしている状態をさします。

また、重度の腰椎部分の椎間板ヘルニアの場合、足にまで痛みや麻痺・感覚障害、時をしてむくみまで生じるため、重大な症状を引き起こすことがあります。


また、椎間板はコラーゲンで出来ており、コラーゲンは加齢により減少するため、高齢の方ほど腰の柔軟性が少ないため、腰椎捻挫になりやすい傾向があります。

そのため、椎間板ヘルニアの治療には、背骨と椎間板を正しい位置に戻すための処置が行われますが、重度の場合は手術が行われます。

しかし、そもそもの椎間板がやせ細っていたりなかったりする場合には、人工椎間板に置換する手術が必要となります。


『腰椎捻挫』と聞くと、「なんだ捻挫か。湿布でも貼っておとなしくしておけばそのうち治る。」と思いがちですが、治らないケースもある事がお分かりいただけたと思います。

捻挫と言う言葉に惑わされず、正しい治療を受けることが回復を早める第一歩となります。

 

日常生活への影響

 

捻挫とは『手足の関節などに無理な力が加わって、関節やその周りを痛める』と言う意味で、腰椎捻挫は『腰に無理な力が加わって、腰椎やその周りを痛める事』ということになります。


通常の捻挫の場合には、関節に無理な力がかかって、関節に関係する筋肉が無理に引き延ばされたり、引き延ばされたことにより断裂したりして、筋肉の炎症が起こっていることがほとんどです。


そのため、腰椎捻挫を受傷した場合には、筋肉の損傷による痛みや炎症による腫れと熱と言った、誰もが一度は経験をした足や手の捻挫の症状が並びます。

足の捻挫で例えてみると、少し捻った程度で痛みはあるが普通に歩けるものから、骨折はしていないものの足首が異常に腫れて内出血を起こし、少し動かすだけでも激痛が走るほどの重いものまで、症状の重さが幅広くあることが分かります。


腰椎捻挫でも同じで、少し痛みや違和感があるが日常生活程度ならば歩くことが出来る程度から、痛みが激しく立つことはおろか座る事すら出来ないと言った重度の腰椎捻挫まであります。


「安静にすること」が、腰椎捻挫の治療の原則


捻挫の多くは『筋肉の損傷による痛み』であるため、湿布や消炎剤などの筋肉の炎症を抑え、鎮痛剤で痛みを和らげる治療が中心となりますが、基本的には自己治癒によるところが多いです。

つまり、『治るまでは安静にしておく』と言うのが、腰椎捻挫における治療の基本となるのですが、ずっと寝て安静にしておける方と言うのは少ないと思います。

『仕事や家事をこなすために動かなければならない』という人も多く、それにより治りは遅くなったり、時として悪化を招く時があります。

腰椎捻挫の程度が重く、寝たきりとなっている人でも、同じ姿勢で寝続けるのは辛いため、寝返りを打とうにもそれが痛みを誘発したり、寝具が合わず寝続けることによって腰椎捻挫自身を悪化させることもあります。

 

「脊髄圧迫」が発生すると、より深刻


腰椎捻挫により脊髄圧迫を起こした場合には、より深刻な症状が考えられます。

腰部の痛みはもちろんのこと、腰椎内の脊髄を圧迫することで腰より下の下半身部分に麻痺やしびれ・感覚異常・筋肉の弛緩や硬直などを引き起こします。

これらの症状が現れると、歩行困難はもとより、感覚異常により温度を感じず低温やけどを負ったり、足に怪我をしても痛みを感じないため、間違って見えない部分に出血多量の可能性がある怪我を負った場合には、失血死の危険性すらあります。


もう1つの脊髄損傷による副次的な症状である椎間板ヘルニアは、腰椎の間にある椎間板が飛び出た状態になったものをさします。

椎間板が飛び出た状態になると、先述のように脊髄を圧迫する危険性があるほかに、骨と骨の間にあるクッションである椎間板がずれているため、骨同士が直接当たる事になります。

骨同士が直接当たると、痛みが生じるため動くことがままならず、ひどい場合には歩く事すらできなくなります。

さらには、脊髄圧迫の症状まで加わると、『腰が痛い上に、足が痺れて動かない』と二重・三重の症状に苦しめられることになります。

椎間板ヘルニアが6か月以上継続する場合には手術が必要なことも


椎間板ヘルニアは6カ月程度で元の位置や形に戻り治癒することもありますが、時として手術が必要となる事もあります。

また、6カ月程度で治癒するとはいえ、その間痛みや麻痺の症状があるので、痛みの緩和のためのブロック注射や消炎剤やステロイド剤の投与、腰の牽引が必要不可欠です。

もし、変形がひどく痛みが激しかったり、椎間板自体がやせ細っていて用をなしていない場合には、手術をして飛び出している部分を切開したり、用をなしていない椎間板の代わりに人口椎間板に置き換えることが必要となってきます。


単なる腰椎捻挫であれば後遺症となる事は少ないですが、椎間板ヘルニアや脊髄圧迫が絡むと、思いもしない後遺症が残る場合もあるため、注意が必要となります。



腰椎捻挫の後遺障害認定について


腰椎捻挫は腰椎の関節の挫きにより、関節及びその周辺が損傷を受けたことをさします。

通常の捻挫ならば、腰椎の関節付近の筋肉の損傷による炎症がおさまれば、自然治癒に向かっていきます。


腰椎捻挫により椎間板ヘルニアが発生した場合、飛び出た部分の椎間板は6か月ほどで正常位置に戻る事が多いので、それまでは治療を重ねた後完治ということになるので、早くとも交通事故から半年ほどかかって完治、もしくは症状固定になるということになります。


「脊髄圧迫」があるかどうか、が重要な分岐点となる

腰椎捻挫により脊髄圧迫があっ場合には、病状により快方に向かうこともあれば、後遺障害が残るケースもあります。
通常、脊髄圧迫が起こっている場合には、圧迫個所の原因となる椎間板や骨の除去、もしくは骨を正しい位置に戻して、脊髄神経が圧迫している位置を開放すると、回復することが多いです。
しかし、脊髄が圧迫されていた期間が長すぎて、脊髄損傷となってしまっている場合には回復が望めませんし、脊髄損傷となっていなくとも脊髄に癒着が起こっている場合には手術でも腫瘍がすべて取りきれず、後遺症が残ってしまうことがあります。



腰椎捻挫による後遺障害


腰椎捻挫による交通事故での後遺障害は、大きく分けて『腰椎の障害』、『脊髄の障害』、『腰の痛みに関する障害』の3つになります。


腰椎捻挫に関係する後遺障害認定の要件だけで見ると、後遺障害等級は3つになります。

第11級(自賠責保険金額331万円)
・脊柱に変形を残すもの

第12級(自賠責保険金額224万円)
・局部に頑固な神経症状を残すもの

第14級(自賠責保険金額75万円)
・局部に神経症状を残すもの


腰部に痛みのみがある場合には、第12級の『局部に頑固な神経症状を残すもの』か、第14級の『局部に神経症状を残すもの』が該当すると考えられますが、腰痛のみで後遺障害等級が得られるのは稀と言えます。

腰痛は国民病と言うべきオーソドックスな症状で、デスクワークのサラリーマンでも発症する可能性があるからです。

つまり、患者が「腰が痛い。」と訴えても、「以前から腰痛があったのではないか?交通事故後に腰痛が現れたとしても、仕事をするのに支障がない範囲の痛みではないか?」と、後遺障害等級の認定をする自賠責保険は考えるため、簡素な内容しか書かれていない後遺障害等級申立書と診断書では、後遺障害認定が受けられる可能性が低くなってしまいます。


このような場合には、『腰椎捻挫による痛み』ではなく、『椎間板ヘルニアが起因の腰痛』、『脊髄圧迫による神経障害』と痛みが起こっている原因を詳しく書き、CTやMRIなどの画像証拠付の診断書を提出することが大切になってきます。


しかし、画像証拠がない場合には、『医師の判断のみ』が腰痛の証拠となるため、後遺障害認定は認められ難いのですが、絶対に認められないというものでもありません。

客観的な証拠や別の検査方法による結果などを積み上げることにより、後遺障害認定が受けられることもあるため、後遺障害認定の手続き前に弁護士に相談をするのがベストです。



2つ以上の後遺障害がある場合には「併合」となる


腰椎捻挫で脊髄の圧迫症状が出ている場合には、腰だけではなく足などの下半身にまで後遺障害が残る場合もあります。

その場合、それぞれの身体部分の重い方の後遺障害等級に合わせるのではなく、『併合』という、特殊ルールが適用されます。

第8級相当の脊柱に運動障害を残すものと、第12級相当の腰痛があった場合、重い方の第8級ではなく、併合されて第7級で認定される可能性もあります。


併合に関してはルールがあり、
『第5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を3級繰り上げる』
『第8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を2級繰り上げる』
『第13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を1級繰り上げる』
というルールがあります。


さらには、
『併合により後遺障害等級の序列を乱す場合』
『組み合わせの等級があらかじめ定められている場合』
『症状的に派生関係になる場合』
は、併合されずに重い方の後遺障害等級で認定されます。


裁判基準は、自賠責基準の3倍近くになる


後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。


自賠責基準だと慰謝料部分は第11級で135万円、第12級で94万円、第14級で32万円ですが、判例基準ですと第11級で420万円、第12級で290万円、第14級で110万円なので、差は3倍近くなります。




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