口の後遺障害

交通事故で口に関する障害は、口元をぶつけて唇が腫れた、歯が折れた、あごの骨が折れたというものが多いのですが、他にも神経障害から味覚が減衰したり失われたりすることもあります。

また、歯牙やあごの骨の骨折や声帯が傷ついたなどで、発語に障害が出ることもあります。

衝突事故では、「フロントガラスに顔をぶつけて、鼻と唇が腫れた。」ということがありますが、打撲であれば1か月ほどでほとんどの物が完治するため、打撲で後遺障害となる事はあまりありません。

しかし、ガラス片で口の端から頬まで切って大きく裂けたという場合には、口唇裂傷として顔の外見を大きく損なう事があります。

美容整形の技術が発達しているものの、完全に傷を無くす手術が難しいケースもあり、女性のみならず男性でも、外貌醜悪の後遺障害として認定されることもあります。

義歯の不具合が発生することがあります

歯は永久歯が骨折した場合、新しく生えることが無いため、治療には差し歯や入れ歯、インプラントとなどの義歯が用いられます。

歯科ではよく用いられる治療方法なので、『義歯による治療でほぼ完治する』と思われがちですが、そうではありません。

義歯があわずかみ合わせが悪くなり、『食事が出来ない』、『発音がしにくい』、『差し歯を入れていると他の健康な歯が圧迫されて痛い』、『口を開ける癖がついてしまった』、『寝ている時に口を開けるので、イビキとドライマウスの症状が出て、口臭もひどくなった』といった、副次的な後遺症が出てくることがあります。

また、入れ歯洗浄など日々の手入れに加え、歯茎の衰えや差し歯自体の劣化により、インプラントであっても定期的なメンテナンスや交換が必要となるため、自前の歯に比べて費用も時間もかかるというわずらわしさがあります。

下あごの骨は骨の中では丈夫な部類ではありますが、交通事故と言う大きな衝撃を受けての受傷では、骨折だけでなく粉砕が起きるケースもあります。

下あごの骨は舌の歯を支える歯槽骨ともつながっているため、下あごを骨折してしまうと、顔の輪郭が変わると言ったこと以外にも、歯のかみ合わせが悪くなったり、発音しにくくなったりということが起こります。

また粉砕骨折やそれに近い状態であると、ボルトを入れて骨を固定したり、あごの骨が形成できない場合には代わりの人工骨を使うということもあります。

神経系の口の障害では味覚障害があります 味覚は甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の五味から成り立っているのですが、五味すべてを感じないものや、一味だけや複数の味が感じない味覚障害が起こる事があります。

味覚障害の原因が、神経系統の障害である可能性があります

味覚障害の多くは、あごや下の組織に損傷が起こり引き起こされるものもありますが、神経障害によるものもあります。

普通の人でも、「風邪を引いて熱が出た時は、ご飯を食べても味が全くしない」ということがあると思いますが、この場合風邪が治ると味覚が回復します。

そのため神経障害が原因の味覚障害は、交通事故直後は味覚が感じなくても、日が経つにつれ味覚が回復することがよくあります。

そのため、交通事故による味覚障害の後遺障害の認定には、『甘味・酸味・塩味・苦味』の基本4味質が感じられるかどうかのほかに、『検査後、半年たっても味覚が回復していないか』ということも問われます。

発語と言うのは、息により声帯を震わせて、唇と口の形とその動きで音を作り出すため、口唇裂傷や歯牙の欠損、舌の麻痺、あごの動きが悪いと言った障害があると、正しい発音が出来ず、最悪の場合発語すら出来ないということもあります。

『話すことができない』、『発音がうまくいかない』、『話し方がおかしい』と思い悩み、話すことだけでなく人とのかかわりを避けたり、うつ状態になったりするケースもあり、身体的な後遺症以上に精神的なダメージを抱えることがあります。

 

日常生活への影響

口は体の中でもたくさんの役割を一手に担っています。

1つ目は、話をする。 2つ目は、口の中に入れた物の味を知覚する。

3つ目は、口に含んだ食物を細かく噛み砕いて消化しやすくする。

3つ目は、呼吸する。

4つ目は、口で呼吸するにあたり、体内に入ろうとする細菌やウイルスを殺す。

5つ目は、口の形で感情を表現する。

6つ目は、顔の見た目に関して、大きな割合を占めている。
などなど、細かくあげていけば書ききれないほどの役割があります。

そのため、交通事故で口に障害を負うと、健常者であった交通事故以前の状態と比べることが多く、違和感をおぼえやすい器官とも言えます。

『唇が裂けた』、『歯が折れた』、『舌が麻痺している』、『あごを骨折して動かしづらい』などが原因で、話をする・言葉を発することがしづらくなることがあります。

家族との「おはよう」と言ったあいさつですら満足にできなくなると、かなりのストレスになりますし、人にとっては話せない事でうつ病を発症することもあります。

『話さない』と『話せない』では大きな違いがあるため、普段無口な人でもストレスが溜まる事があります。

味覚障害は、他人に理解されにくい

他人に分かってもらいにくい口の障害に、味覚障害があります。

味覚(甘味・酸味・塩味・苦味)の一部または全部を感じなくなったり、感じ方が非常に鈍くなったりしてしまう事なのですが、料理人やパティシエ・ソムリエなど、飲食のエキスパートが味覚障害になると、職業的に致命傷になります。

一般の人でも、毎日の食事が何を食べても味がせず、ほっと一息つくためのお茶ですら、水と同じように味を感じないとしたら、どれだけ食事が味気なくなるか想像がつくと思います。

そのため、食欲不振となり拒食症に陥る人もいます。

味覚障害となったのが主婦であれば、家族の食事を作るのが困難となるケースもあり、家族を巻き込んで問題となる事もあります。

歯の「かみ合わせ」に問題が発生するケースがある

歯が折れて差し歯や入れ歯になったり、あごを骨折した場合、かみ合わせがあわなくなることがあります。

かみ合わせが正しくないと、発音がうまくいかず話しづらくなったり、食べ物をうまく噛めなくなったりします。

他にも、かみ合わせは『歯を食いしばる』という言葉もある通り、正しいかみ合わせでないと体にうまく力が入らないため、一流のスポーツ選手の中には、かみ合わせを合わせるために、歯科矯正をする人もいるほどです。

「歯が折れてかみ合わせがあわないのならば、きちんと入れ歯かインプラントをすれば解決するのでは?」と思うかもしれませんが、
人によってはインプラントが出来ない人や、口に異物が入ると強い吐き気を覚えるため入れ歯が出来ない体質の人もいます。

そのような方は、歯が折れたままで生活を余儀なくされるため、 口は顔の印象を決る大きな器官であるため、女性ならば口紅をしたり、口角のリフトアップのマッサージをしたりと、重点的にケアしている方もいると思います。

交通事故で口の端から頬にかけて大きな傷を負ったり、歯やあごを骨折して顔の輪郭が変わったり、口の形が変わったりした場合、顔の見た目が大きく損なわれるため、女性のみならず男性も、外見に対して非常にコンプレックスを抱くことがあります。

傷の形成手術やインプラントなどの審美歯科もありますが、それらの治療だけではカバーできないこともあり、患者からすれば鏡が見れないくらい自分の顔が嫌いになったり、顔だけでなく自分自身が嫌いになるといったことがあります。

顔に大きな傷があったり変形があったりした場合、接客がメインの仕事であれば仕事を続けることが難しくなりますし、サラリーマンでも通勤中に
『自分の顔が変でみんな内心笑っているんじゃないか?』
と、周りの目が気になって出勤できなくなると言ったケースもあります。

手指に関する後遺障害認定について

口は1つで多くの役割を担っているため、交通事故での口の後遺障害の種類は数多くあり、重篤なものから比較的軽微なものまで幅広くあります。

交通事故の口に関する後遺障害が残った場合、障害の種類が幅広くあるため、後遺障害認定も1級から14級までかなりの幅があります。

第1級(自賠責保険金額3000万円) ・咀嚼及び言語の機能を廃したもの

第3級(自賠責保険金額2219万円) ・咀嚼又は言語の機能を廃したもの

第4級(自賠責保険金額1889万円) ・咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

第6級(自賠責保険金額1296万円) ・咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの

第9級(自賠責保険金額616万円) ・咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

第10級(自賠責保険金額461万円) ・咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
・14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

第11級(自賠責保険金額331万円) ・10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

第12級(自賠責保険金額224万円) ・開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの ・7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
・味覚脱失(「味覚脱失」とは、濾過ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質(甘味、塩味、酸味、苦味)すべてが認知できないものを言う。)
・声帯麻痺による著しいかすれ声

第13級(自賠責保険金額139万円) ・5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

第14級(自賠責保険金額75万円) ・3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
・味覚減衰(「味覚減衰」とは、濾過ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質(甘味、塩味、酸味、苦味)のうち1味以上が認知できないものを言う。)

一覧には含まれませんが、顔など目立つ場所に醜い傷などを残す『外貌醜状』は、場所や大きさにより、7級・9級・12級になります。

口の障害によって将来の収入が減少するか?

口の障害認定において、加害者側と交通事故との争点は、後遺障害認定もさることながら、逸失利益の点で争われることも多いです。

逸失利益では交通事故で負った後遺障害で、将来的にどれだけ収入に影響を及ぼすかという点が問題となります。

例えば、同じように口から下の骨が粉砕して、味覚障害が発症し会話も出来ず、以前の容貌とは大きく変わった人が2名いたとします。

片方は女性でお客と対面しながら料理を作る料理人で、もう片方は工場で一人で物を作る専門職の男性だったとします。

料理人の女性の方は、味覚に障害が出たことで料理を作ることが困難となり、以前は接客していたのに会話もできない上に、怪我で見た目も悪くなって、以前の職を続けることは困難だと考えたれます。

しかし、男性の方は一人で黙々と物を作るため、人との関わり合いが薄く、味覚障害が直接仕事に影響を及ぼすこともなく、意思の疎通なども筆談などで十分図れるのであれば、逸失利益は発生しないとされる可能性が非常に高いです。

このように、同じ後遺障害を負った被害者であっても、交通事故当時就業していた状態や、学生等であれば将来的に就業したであろう職種によって、大きく逸失利益の判断が変わります。

そのため、逸失利益に関しては、全額が認められるものもありますが、減額されて認められたり、逸失利益自体が認められないと言った判例もあります。

逸失利益を認めない判例でも、情状を斟酌して後遺障害慰謝料の増額がなされるケースもありますが、確率的には低いと言えます。

自賠責基準だと慰謝料部分は第1級で1100万円、第2級で958万円、第4級で712万円、第9級245万円・第11級で135万円ですが、
判例基準ですと第1級で2800万円、第2級で2370万円、第4級で1670万円、第9級690万円、第11級で420万円なので、差は3倍近くなります。


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