肩の痛みの後遺障害


交通事故の外傷による痛みで、『むち打ち』・『膝痛』なのですが、それらと並んでよくあるのが
『肩痛』です。

文字通り肩の痛みをさすのですが、交通事故を起因とする肩痛の場合、大きく分けて2種類の物があります。

1つ目は打撲や裂傷といった外傷性が原因の物です。

2つ目は神経に何らかの異常をきたしていることからくる痛みです。

外傷による肩痛

まず1つ目の何らかの外傷を起因とするものですが、多くの場合は交通事故の衝撃で打撲した物です。

むち打ちも広義にとらえると、衝撃で筋肉や骨に衝撃が加わったことにより、筋肉組織が損傷したり関節がずれたりするため、打撲に似た症状とも言えます。

肩は部位的に言うと『首元から肩関節』をさすのですが、実際に肩を構成している筋肉は後頭部から背中まで関係しています。

交通事故の被害者の中には、「交通事故から肩が痛い。」と訴えられるため、肩を中心とした治療や検査をしたもののよくならず、精密検査をしたところ首の筋肉が委縮しており、それに合われて肩の筋肉が引っ張られ、首ではなく肩に痛みが出ると言ったケースもあります。

肩の骨に関係する肩痛では、骨自体が折れた他には、肩の関節の腱の損傷、肩関節の脱臼、肩関節の変形などが挙げられます。

肩の骨は鎖骨と肩甲骨・上腕骨で構成されているのですが、人類の進化に合わせて肩の可動域を広げてきたため、関節部分が動きやすい反面、骨だけでは安定感が悪く、周りの筋肉により支えられている形になっています。

動きやすいということは、外れやすいということでもあり、肩の脱臼は他の部位の脱臼に比べて飛びぬけて多くなります。

脱臼だけならば整形外科などで肩の骨をはめて安静にしておけば治癒しますが、その際に腱や骨が傷つく危険性があります。

筋肉組織についても骨に関しても、一過性の外傷であれば安静にすることで自然回復しますが、関節が断裂してしまったり、骨折により骨が変形してしまった、骨折した際の骨の破片が筋肉や腱などを圧迫しているなどは、手術をする必要があることもあります。

神経に起因する肩痛

神経を起因する肩痛にも、いくつか原因が考えられます。

1つ目は神経自体が損傷しているケースです。

交通事故の衝撃で神経の一部が損傷したり、車の部品や骨折した骨で神経が傷ついたりと言ったケースです。

神経組織が物理的に損傷しているため、神経組織の再生がしなければ完治しないのですが、かつて『中枢神経は再生しない』(現在はiPS細胞などの再生医療により一部否定)と言われたほど、脊髄に近い神経ほど再生しにくいです。

そのため、単なる打撲による一時的な痛みだと思っていたのに、1か月たっても半年たっても痛みが引かず、医師からも異常なしと言われて困って相談に来られた依頼者が、交通事故に特化した病院で精密検査をしたところ、神経の損傷部分が見つかるということもあります。

また、損傷個所がなくとも神経伝達に何らかの異常が生じ、痛みが発生しているケースもあります。

交通事故で肩痛がある場合、湿布や鎮痛剤が処方されることが多いです。

それで、ついやってしまいがちなのが、痛みのある部分を揉むなどのマッサージをしてしまうことです。

交通事故直後の受傷部分は炎症を起こしていることが多いので、マッサージをする筋肉の緊張をほぐし血流を良くするため、炎症がひどくなってしまい逆効果となってしまいます。

また、炎症が治まってからマッサージをしたとしても、関節の変形や腱の断裂などが原因である場合には、反対に患部を悪化させてしまう可能性があります。

自己判断でマッサージをするのではなく、病院の医師や医学療養士の指示のもと運動療法を行うか、整骨医など専門医に施術してもらうようにしましょう。



日常生活への影響

交通事故で肩痛の症状が出ると、日常生活で様々な障害が出ます。



一口に肩痛と言っても、
『常時激しい痛みがある』
『常時痛みがあるが、肩を動かすことができる』
『常時痛みがあり、動かすことはできるが特定の方向に動かすとより強い痛みが出る』
『普段は痛みがないが、肩を動かそうとすると痛みが出る』
『痛みはないが、肩を動かせる範囲が交通事故以前よりも狭い』
と、人により程度が大きく違います。


常時痛みがある場合、痛みのほかに、頭痛・首のコリ・めまい・吐き気・倦怠感などの副次的な症状が出ることが多いです。

ロキソニン等の鎮痛剤でもあまり痛みが軽減しない場合もあり、痛みがひどい場合には簡易な日常動作も出来なかったり、寝込んでしまったりすることもあります。

特に肩腱板損傷の場合、痛みが常にあるのですが、寝ている方が痛みが強くなる傾向があるので、身体を横にして休むということがしづらくなります。

肩痛は、体を動かした時に突然発生する!


肩痛でよくあるのが、動かそうとした時や一定の方向に動かそうとした時に痛みが出るというものです。

『棚の上の物を取ろうと腕をあげたら、肩に激しい痛みが出た』
『物を取ろうと腕を伸ばしたら、肩に鋭い痛みが走った』
『荷物を持とうとしたら想像以上に重くて、肩が痛くて持てなかった』
などです。

肩に痛みが出るかもと知ってはいるものの、意識せずに取った行動で肩に痛みが走り、
「ああ、こうすると肩に痛みが出るのに、うっかりしていた。」
と、日常生活で不意打ちのように起こります。

常に意識をして、肩に痛みが出る行動を控えるしかないのですが、行動を制限されたり、うっかり痛みが出る行動をした事に対して腹立たしくなったりなど、日常生活に支障が出るだけでなく、精神衛生上も良くないということもあります。


また、痛みに伴って肩の可動域が狭くなるということがあります。

『腕をあげようとしたら、耳のところまではあがるが、それ以上あげようとすると痛みがでる』
『右腕ならば左肩をさわれるが、左腕は右肩まで上げられない。』
と、肩の動きに制限がされます。

痛みが激しく肩がほとんど動かせない場合、肩を動かさずに肘から先だけの動きになるため、動きがかなり制限されてしまいます。

さらに、肘にも痛みがあると腕全体を動かすことも出来ないため、そちらの腕を使うことは出来なくなります。


肩こりの経験がある方ならば、思い当たる症状も多いのではないかと思います。

しかし、肩こりは『肩を動かさないことによる筋肉の硬直、それに伴う血流量の低下』により引き起こされるため、ストレッチやマッサージ、温熱治療(お風呂やカイロで温める等)で痛みが軽減できることが多いです。

交通事故の肩痛は、マッサージすると悪化する!


肩こりとは異なり、交通事故で引き起こされる肩痛は打ち身や骨折などの外傷性を伴うため、ストレッチやマッサージ・温熱治療を行うと炎症が引き起こされ悪化することがあります。

「お風呂に入った時に、肩を揉めば楽になるかも?」と、肩こりの対処方法と同じように考えてしまうと、なかなか治らないということもありえます。


神経系の障害による痛みの場合、神経組織自体が損傷している、もしくは神経伝達でエラーが生じていることにより引き起こされます。

神経痛と似た症状が起こるため、痛みのほかにしびれや筋肉の委縮や冷えを感じることがあります。

神経痛の原因は末梢神経の炎症と言われていますが、原因不明の痛みも神経痛と言われるため、交通事故による肩痛も病院での診断は神経痛とされることもあります。


交通事故の肩痛の場合、日数が経過することで自然治癒することが多いのですが、痛みが完全になくならなかったり、一般的な検査では異常が見つからないにもかかわらず痛みが一向にひかないと言ったりすることもあるため、その場合には後遺障害としての認定が重要になります。



肩痛に関する後遺障害認定について

交通事故での肩痛に関する後遺障害は、肩痛のみで後遺障害認定された場合、神経症状の後遺症なので障害等級が低くなる傾向があります。

肩の痛みのほかに、肩関節の変形や人工関節の手術など身体部位に大きな後遺症がある場合には、上位の後遺障害等級で認定されるか、他の後遺症と合わせて上位の等級が認定される併合のどちらかで認定されます。

肩痛のみと肩が動かせない・動かせづらいと言った症状を含むものまで幅広いため、後遺障害の等級も第1級から第14級まで幅広くあります。

肩に対する後遺障害認定の要件は、麻痺などで動かせないものから神経症まで幅広くあるため、細かく条件付けされています。

第1級(自賠責保険金額3000万円)
・両上肢の用を廃したもの

第5級(自賠責保険金額1574万円)
・1上肢の用を廃したもの

第6級(自賠責保険金額1296万円)
・1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

第7級(自賠責保険金額1051万円)
・1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

第8級(自賠責保険金額819万円)
・1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの ・1上肢に偽関節を残すもの

第10級(自賠責保険金額461万円)
・1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

第12級(自賠責保険金額224万円)
・局部に頑固な神経症状を残すもの
・1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
・長管骨に変形を残すもの

第14級(自賠責保険金額75万円)
・局部に神経症状を残すもの

「頑固な痛み」なのかどうかは、争われることがある

肩痛に関する障害で、『1上肢の用を廃したもの』や『上肢に偽関節を残すもの』と言った、検査や手術などで明確になる物に関しては、後遺障害の認定において争うことが少ないので、症状として肩痛もその後遺症に含まれて認定されることが多いです。

しかし、『局部に神経症状を残すもの』と『局部に頑固な神経症状を残すもの』では、『頑固』と判断される基準が微妙であることも多く、医師の診断書が重要となってきます。

同様に『1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの』と、『1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの』では、肩痛により肩の可動域がどの程度狭くなったかなどが問題となります。

そのため、弁護士に『後遺障害等級に納得が出来ない』と相談に来られる方も多いです。

後遺障害認定のための診断書を精査して、認定が順当なものであれば説明して納得していただくことになります。

しかし、後遺障害等級が低い場合には、後遺障害等級の異議申し立てをするのですが、問題がいくつかあります。

1つは異議申し立てをしたからと言って、必ずしも後遺障害等級が上がるとは限らないことです。

前回提出した内容と変わらなければ、ほぼ後遺障害等級が上がる事はありません。

そのため、前回提出した内容精査して、再認定してもらいやすくなる書類や診断書内容で再提出しなければなりません。

ただ、異議申し立ての壁はかなり厚く認定率は5%とも言われているため、初回で認定されるのがベストであるため、初めから弁護士のアドバイスを仰いで申請書類の作成をする方が無難です。

もう1つは、肩痛は加齢や生活習慣でも引き起こしやすいという点です。

肩痛の原因が腱板損傷などで受傷個所が明らかな場合には、後遺障害認定がされやすいのですが、神経症状のみの場合は加齢や生活習慣にで『交通事故以前から肩通があった』と判断されることがあります。

特に中・高齢者の場合は、元から多少なりとも肩痛はあると裁判所も判断するため、『交通事故以前は全く肩痛はなかった』と主張しても、通りにくい事もあります。

また、交通事故により肩痛が悪化したと認められたとしても、交通事故以前の状態からの差分に関してのみの後遺障害認定になる事もあります。


お電話をする前に必ずこちらをクリックしてください

お電話をする前に必ずこちらをクリックしてください

交通事故サイトからのご相談
お名前  *
 例)山田太郎
お電話  *
 *半角英数
メールアドレス  *
 *半角英数
弁護士費用特約が使えますか?
ご相談内容  *