腰腹部の後遺障害

腰腹は人体構造からみても、弱い部類に入ります。

そもそも4足歩行の哺乳類から進化した過程があるため、直立歩行と言うのは首の骨や腰の腰椎に負担がかかりやすい体勢だと言えるからです。

そのため、普段からもぎっくり腰やヘルニアなど、腰椎にまつわる疾病を抱える方は多くいます。

歩行者対自動車の交通事故の場合、歩行者が腰腹部を痛めることはよくあります。

ミニバンは、被害者の腰に衝突しやすい

セダンタイプだと自動車のバンパーは成人の膝のあたりにあるのですが、昨今流行りのミニバンやバンタイプだと、車体の前面が腰あたりの高さまでフラットになっているものが多く、腰や腹部にダイレクトに衝突することが多くなっているからです。

また、自動車に衝突した後、ボンネットに乗り上げたり、地面に叩きつけられたりして、腰骨を骨折したり、内臓に損傷を生じたりします。

運転手の方も、シートベルトやエアバッグなどで車体から飛び出るような大きな事故にはなりにくくはなりますが、シートベルトで怪我をすることがあります。

通常の3点シートベルトは肩から腰骨まで下ろし、左右の骨盤の上を覆うように装着します。

しかし、シートベルトがたるんでいたり、腹部にシートベルトを載せるようにしていると、交通事故時に大きな怪我を負うリスクが、正しく装着している時よりも高まります。

『シートベルト外傷(損傷)』と呼ばれるもので、衝突時に慣性の法則で体は前に行くのですが、シートベルトがそれを抑えるため、結果として肋骨を骨折したり、内臓を傷つけたり、腰椎の損傷などにつながる事があります。

心臓や肺などは肋骨でおおわれているのですが、胃よりも下の肝臓や腸などの臓器は腰椎(背骨)があるだけで守られていません。

そのため、交通事故で内臓破裂が起こった場合、肋骨より下部にある臓器が破裂することが多いです。

肝臓を損傷すると重症化しやすい

特に肝臓は『血液のタンク』と呼ばれるほど血液の貯蔵量が多く、肝臓が破裂してしまうと生命維持に必要な量の血液が維持できなくなる可能性が高くなります。

また、肝臓は解毒作用や代謝・免疫などをつかさどる働きがあるため、肝臓の再生能力は大きく半分以上切除しても3~6か月ほどで元の大きさまで肥大するとはいえ、肝臓破裂で切除した場合には、完全に再生するまでは肝機能不全の症状が出ます。

腎臓は血液の中の老廃物をとりだし、尿として排出する『血液の濾過装置』の役割があり、腰骨あたりの高さに左右1つずつあります。

もし、腎臓が2つとも破裂した場合、血液中の老廃物を取りだし、余分な水分を尿として排出できなくなるため、尿毒症に陥ります。

尿毒症の症状は重く、重度の腎不全患者などは数日透析を行わないだけでも、死に至ります。

この場合、人工透析か腎臓移植しか治療の方法が無いため、一生涯人工透析をしなければいけないか、移植の適合者が現れるのを待つことになります。

また、腎臓の破裂が1つの場合直ちに命に係わるとは言えませんが、腎機能が半分になるため軽い尿毒症状の
・『疲れやすい』
・『むくみが出る』
・『貧血』
・『血圧が上がる』
・『だるさが取れない』といった症状に悩まされることが多いです。

しかも、残った腎臓の働きが悪くなると急激に症状が悪化しやすくなるため、日頃から体調管理に気を付けなければいけません。

腰椎の骨折は歩行に悪影響をあたえる

腰椎を骨折した場合には、脊髄の変形により歩くことが困難となったり、まっすぐに立つことが出来なかったり、反対に座ると痛みが合ったりバランスが崩れるたりするため椅子に座ることができないなど、日常生活に支障が起こるケースがあります。

また、腰部分に大きな衝撃を受けた場合には、脊髄損傷の危険性もあります。

脊椎の中には脊髄と呼ばれる神経の束が通っているのですが、骨折時に脊髄を傷つけてしまうと、最悪下半身不随になってしまいます。

不随とまではいかずとも、足に麻痺が起こったり、排尿排便障害が起こったりと、後遺障害が残る事もあります。

 

日常生活への影響

交通事故で腰腹部に現れる後遺障害の多くは、『腰の痛み』が上げられます。

直接的な腰への打撲が原因のこともありますが、腰椎の骨折や内臓の損傷など原因は多岐にわたります。

交通事故直後にレントゲンやCTなどの検査が行われることがほとんどですので、骨折や内臓損傷の場合はそれに応じた治療がなされます。

交通事故で腰の痛みのみある場合はイメージ的には『ぎっくり腰』をした時と似ており、『立つと痛い』・『歩くと痛い』・『何もせず寝ていても痛い』と、もともと腰痛を抱えている方ならば、容易に状況が理解できると思います。

このような場合は、打撲が大きな原因と考えられ、日数経過による自然治癒が中心となるため、湿布と鎮痛剤と言った処方が行われ、数日間の安静を言い渡されることがほとんどです。

しかし、同じ腰の痛みでも骨折や脊髄損傷などが原因の場合には、症状が安定するまで安静が必要となるため、起きて体を動かすことは厳禁になる事が多く、日常の家事なども行えず、時にはトイレに行くこともままならないということもあります。

また厄介なのが、腹部の異常です。

交通事故により内臓に破裂や一部損傷が起こった場合、傷自体は完治しても機能が完全には戻らないということがあります。

腎臓を損傷すると人工透析が必要になる

腎臓は血液中の老廃物を尿として排出する機能があり、2つある腎臓の両方が損傷してしまうと、人工透析の必要が生じます。

また、片方だけの損傷であっても、腎臓機能が低い方ならばやはり人工透析が必要となりますし、人工透析が不要であっても老廃物の排出が悪いために常に倦怠感が合ったり血圧が高めになったりなど、交通事故以前よりも『身体が重い』と感じる人が多くあります。

胃や腸が交通事故で損傷した場合には、多くの場合は裂け目を縫い合わせる『縫合手術』が行われるのですが、大規模に損傷していたり壊死している場合には、そこの部分を切除して『再建手術』がなされます。

胃や腸は再建手術後、元の機能を取り戻してはいきますが、100%機能が元に戻るとは限りません。

胃の場合であれば消化不良や胃が小さくなったことによる摂取障害、腸の場合には腸が短くなったことにより下痢が起こったり、繊毛運動が鈍くなり便秘になりやすくなったりと言ったことが起こります。

肝臓は非常に再生しやすい臓器と言われており、肝臓を移植する際にドナーの肝臓を半分に割り、2人の患者に移植することもあるほどで、臓器移植でも腎臓に次いで肝移植の件数が多いです。

肝臓を切除した場合、元の大きさに戻るのに3か月から6か月ほどかかります。

肝臓は解毒作用や代謝・免疫などをつかさどる働きがあり、再生するまでの間はそれらの機能が低下してしまうため、身体が疲れやすく風邪などを引きやすい体質になります。

また、高齢の場合には十分に肝臓が再生しない可能性もあり、肝機能不全の状態を抱えることになります。

再生中や肝機能不全の状態の時に飲酒をするのは厳禁ですし、一見身体によさそうな果物も果糖が多く含まれているものならば肝臓に負担がかかるため、食事制限を念頭に入れて食生活を送らなければいけません。

脊髄損傷の場合には、下半身麻痺となるケースもある

腰腹部の損傷で重症の部類に入るのは脊髄損傷で、腰の脊髄が完全損傷した場合には下半身麻痺が起こり歩行が困難となります。

不完全損傷の場合には、人により症状が変わりますが、足に麻痺が出て歩行困難となるほかに、排便や排尿が任意にできず失禁したり便秘になったりする排便障害、触覚や温覚・痛覚がなくなる感覚障害などがあります。

感覚障害の場合、一見大きな障害に感じられないかもしれませんが、カイロなどで低温やけどを負ったり、足に怪我をしたり他の病気で通常なら生じる痛みを感じないため発見が遅れたりなど、副次的に大きな障害を起こすケースもあります。

 

腰背部に関する後遺障害認定について

交通事故での後遺障害は、大きく分けて『内臓器の障害』、『腰椎の障害』、『脊髄の障害』、『腰の痛みに関する障害』になります。

脊髄損傷を負い両足の用をなさなくなった場合には、後遺障害等級は重いものになりますが、その他の後遺障害に関しては障害の度合いによって上下することが多いです。

腰腹部に対する後遺障害認定の要件は、細かく条件付けされています。

介護第1級(自賠責保険金額4000万円)
・胸腹部臓器に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

介護第2級(自賠責保険金額3000万円)
・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

第1級(自賠責保険金額3000万円)
・両下肢の用を全廃したもの

第3級(自賠責保険金額2219万円)
・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

第5級(自賠責保険金額1574万円)
・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 「身体的能力の低下などのため、独力では一般平均人の4分の1程度の労働能力しか残されていないもの」
・一下肢の用を全廃したもの

第6級(自賠責保険金額1296万円)
・一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

第7級(自賠責保険金額1051万円)
・胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 「中程度の胸腹部臓器の障害のために、労働能力が一般平均人以下に明らかに低下しているもので、独力では一般平均人の2分の1程度の労働能力しか残されていないもの」
・両足の足指の全部の用を廃したもの
・両側の睾丸を失ったもの

第8級(自賠責保険金額819万円)
・胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 「社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」

第9級(自賠責保険金額616万円)
・生殖器に著しい障害を残すもの
・一足の足指の全部の用を廃したもの

第10級(自賠責保険金額461万円)
・一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第11級(自賠責保険金額331万円)
・胸腹部臓器に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの 「一般的労働能力は残存しているが、胸腹部臓器の機能の障害が明確であって労働に支障を来たすもの」
・一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

第12級(自賠責保険金額224万円)
・一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
・局部に頑固な神経症状を残すもの

第13級(自賠責保険金額139万円)
・胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
・一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

第14級(自賠責保険金額75万円)
・一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
・局部に神経症状を残すもの 下肢(足)に関する後遺障害等級は、腰部の脊髄を損傷した場合に現れる後遺障害によるもので、『原因は腰の精髄損傷であるが、後遺障害部分は足に表れている』ものをあげています。

内臓の後遺障害の場合には重症と認定されやすい

特に注目したいのが、胸腹部の内臓器にかかる後遺障害の認定です。

内臓器の後遺障害が重く介護が必要な状態になっても、介護1級と介護2級との認定をどちらでなされるかが大きな焦点となります。

また、仕事を続けられる場合にでも、第5級・第7級・第8級・第11級・第13級と、収入の減額をベースとした考え方があり、「第7級に認定されたけれども、実際には会社を辞めざるを得なくなり、収入は0円になった」など、被害者側と加害者側で争われるケースもあります。

後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。

自賠責基準だと慰謝料部分は第1級で1100万円、第2級で958万円、第4級で712万円、第9級245万円・第11級で135万円ですが、判例基準ですと第1級で2800万円、第2級で2370万円、第4級で1670万円、第9級690万円、第11級で420万円なので、差は3倍近くなります。


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