神経に関する後遺障害

交通事故による後遺障害と聞くと、怪我と言った外傷性のものを思い浮かべますが、一番多いのが『痛みが続く』、『しびれた感覚が取れない』と言った、神経に関するものです。

外傷性で完治していない場合には痛みがあるのは見た目からも理解できますが、表面的には完治していたり、時として交通事故時から見た目的には外傷を負っていないにもかかわらず、痛みを訴えたりというのはよくある事です。

神経の「エラー」による痛みがある?

そもそも『痛み』というのは、『身体に不具合が起こっている』と脳に伝える信号であるため、ごく一部の臓器を除いて全身に痛みを感じる痛覚があります。

『怪我をして血が出ている』、『骨が折れている』、『打撲で腫れている』といった、目視できる異常が発生していなくても、身体は異常を感じれば『痛み』というサインを出します。

しかし、本当に痛みの原因があり『痛い』というサインを出しているのならばよいのですが、痛みを発する神経プログラム自身に異常があり、身体的には痛みの原因が全くないにもかかわらず、神経がエラーを起こして『痛み』を引き起こしているケースがあります。

そのようなケースではいくらレントゲンやCT・MRIなど検査しても異常が見つからず、
『原因不明の痛み』、
悪い場合には
『患者自身による狂言』
と取られかねないこともあります。

また、神経と言うのは繊細であるため、1㎜以下の神経の圧迫でも痛みや麻痺を引き起こすため、画像診断では異常が認められないというよりも、医師であっても異常を引き起こしているかどうか判断が出来ないというケースも多々あります。

レントゲンやCT・MRIなどの画像診断がつかなかった場合には、感覚テスト・深部腱反射テスト・筋力テストなど神経学的テストが行われますが、不随筋の神経反射以外は患者自身が悪性の方に加減することができるものも多いため、医師による診断はもちろんの事、日頃の行動も重要になってきます。

ある裁判では、交通事故の被害者が首などの痛みを訴えて後遺障害慰謝料の請求をしましたが、加害者側の保険会社が『被害者は痛みがあり日常生活に支障が言っているが、自動車を運転して自ら洗車するなど、被害者が訴える後遺障害があるのならばあり得ない行動をしている。』と、自動車の運転や洗車をしている映像を裁判所に提出し、裁判所が加害者側の主張を認めたものもあります。

「心臓の筋肉が原因で肩が痛む」ということもある

他にも『放散痛』と言うものがあり、例えば心筋梗塞ならば普通は胸やその付近が痛くなる『関連痛』が起こる事が多いのですが、神経の繋がりにより原因部位の心臓とはまったくかけ離れた肩や背中、歯などの部位に痛みが現れることがあります。

そのため、患者が肩の痛みを訴えるので、医師が肩付近を重点的にCTやMRIで検査しても異常が見つからないため、『単なる老化による五十肩』や『原因不明の肩痛』として診断されることがあります。

筋肉の断裂による痛みの場合、大きな裂傷ならばCTやMRIなどの画像診断でも現れますが、微細である場合に画像診断でもわからない場合がありますが、自己治癒による筋肉の修復により痛みが治まってきます。

一方、神経の断裂やエラーによるものの場合、神経の修復により軽減することもありますが、脊髄など神経の修復がされないものや、神経の繋がりが間違ったまま修復した場合には、痛みやしびれが緩和されることが無く継続して症状が現れます。

では、神経的な痛みは肉体的な痛みと違い、そのままずっと続くのかというと少し違ってきます。

継続的に同じ刺激を受け続けた場合、『慣れる』ということがあります。

身近な例では、服を着た際に服を着ていることをずっと意識し続けている人が少ないように、痛みにも慣れてきて次第に痛みに対して鈍感になる『馴化(じゅんか)』が起こります。

そのため、神経的な障害に関に関しては、痛みを感じる個人差や診断をくだす医師の判断の仕方、後遺障害認定のための診断書の内容により、後遺障害等級及び認定に大きくかかわってきます。

 

日常生活への影響

 

 交通事故による神経の障害で起こる日常生活の支障で、一番大きなものは痛みになります。

外傷に伴う痛みであったり、むち打ちなどの一過性の痛みだったりする場合には、『患者自身も痛みの原因となるもの』を認識しているため、時間経過に伴う自己治癒による痛みの軽減や完治を自己認識しやすくなります。

しかし、神経の障害で知覚する痛みは、外傷などを起因するものではなく神経自体に原因がある痛みのため、
『怪我は治っているのに痛みがある』、
『むち打ちだから2週間ほどで治ると思っていたのに、1か月たっても痛みが治まらない』
といったケースが起こりえます。

医師にも痛みの原因が分からないこともある

神経障害の場合、患者が訴えることで医師が診断するため、医師によっては「怪我は治っているので、痛みがあるはずがない。患者が大げさに言っているだけだ。」と、患者の訴えを無視したり、自分の診断の誤りを認めたがらなかったりすることがあります。

そのため、医師と患者の間で神経障害に対する認識に齟齬が生じ、医師と患者の信頼関係が崩れることもあります。

神経障害は、交通事故で目に見えて怪我を負った部分に現れるだけでなく、一見して受傷していない部分にも表れることがあります。

交通事故の代表的な受傷にむち打ちがありますが、実際交通事故直後に首の痛みを訴えても怪我をしているわけでも、大きく腫れ上がっているわけでもなくても、『交通事故で衝突したのならば、むち打ち症状が現れるのは普通』と、医師側もよくある凡例からむち打ちと判断することが多いです。

そのため、2週間くらいならば『痛いと言っているがむち打ち、いわゆる首のねん挫だから、徐々におさまってくるだろう。』という見立てますが、それを過ぎても一向に良くならない場合、神経障害を疑って精密検査をする医師と、ねん挫が長引いているか患者が大げさに言っているから適当に診断を続ける医師と二極分化していきます。

検査では異常が無いのに、症状が重いこともある

神経障害でひどいケースでは、検査をしても体に異常は見られないのに、起き上がる事も出来ないほどの倦怠感や痛みを感じると言ったことがあります。

神経障害は痛みだけではなく、触覚・温覚など肌で感じる感覚だけでなく、めまいや頭痛・しびれ・倦怠感など、はっきりを障害があるほどの症状ではないがすっきりしない症状、いわゆる『愁訴』を言う形で現れることがあります。

これらの愁訴は頭痛や肩こり、更年期を抱えている患者の場合、すでに患者が抱えている症状なのですが、交通事故によりさらに症状がひどくなることがあります。

「交通事故のせいで愁訴がひどくなった。」と目に見えて交通事故以前と後で大きな差があるのならば医師に訴えやすいのですが、『年齢も年齢だから、もともとの持病が加齢で進んだだけ。』と見過ごしてしまうケースもあります。

神経障害は痛覚を刺激されて痛みを感じると言った五感を刺激するもののほかに、自律神経の変調をきたすものがあります。

神経障害によるホルモンバランスの崩れや、リンパ腺の異常から生じる症状なので、めまいや顔のほてり、頭痛・動機・多汗・焦燥感など更年期障害に酷似した症状が出ます。

「交通事故直後から更年期の症状が出たけど、年齢的なものだ。」と、そのまま交通事故の示談をしたものの、治療をしても1年たっても5年たっても更年期にいた症状が治まらず、交通事故から長年経ってから「こんなに何年も更年期の症状が続くのはおかしい、もしかしたら交通事故が原因だったのでは?」と気づくも、示談を終えているため加害者を訴えることができないと言ったケースも多々あります。

交通事故から今まで無かった神経障害が出たり、今まであった愁訴がひどくなった場合には、医師にその旨をきちんと伝えて、精密検査を受けることをお勧めします。

特に担当医が外科の場合に、神経内科や更年期外来と言った神経障害の専門科で、再診察と精密検査を受けるとよいでしょう。

 

神経に関する後遺障害認定について

交通事故での神経に関する後遺障害は、後遺障害の等級のも第1級から第14級までありますが、介護を要するものの第1級・第2級の認定を受けるのにはかなりのハードルがあるため、現実としては第5級~第14級のいずれかの認定を受けることになります。

神経に対する後遺障害認定の要件は、等級ごとに細かく条件付けされています。

首の後遺障害に関係する後遺障害認定の要件は、細かく条件付けされています。

介護を要する第1級(自賠責保険金額4000万円)
・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 介護を要する第2級(自賠責保険金額3000万円)
・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

第5級(自賠責保険金額1574万円)
・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第7級(自賠責保険金額1051万円)
・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第9級(自賠責保険金額616万円)
・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

第12級(自賠責保険金額224万円)
・局部に頑固な神経症状を残すもの

第14級(自賠責保険金額75万円)

・局部に神経症状を残すもの

「12級か?」「14級か?」の違いは大きい

神経障害の後遺障害認定は、同じような文言で一部違うというものが多いです。

例えば、第5級は「神経系統の機能又は精神に『著しい』障害を残し、『特に』軽易な労務以外の労務に服することができないもの」で、第7級は「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」と、第5級と第7級の差は『著しい』と『特に』と言った数値化されていない、あいまいな表現により区分されています。

そのため、神経障害の後遺障害認定では、後遺障害認定が認められるか否かのほかに、
『第5級か、第7級か、第9級のいずれで認められるのか?』、
『第12級か第14級のどちらになるのか?』
というのが大きな焦点になってきます。

神経障害の後遺障害認定の判断材料として医師の診断書が大きなウエイトを占めており、同じ年齢性別で、同じような神経の後遺障害がでているにもかかわらず、診断書の書き方ひとつで、『Aさんは第5級、Bさんは第9級』と言ったことがあり得ます。

交通事故に精通しており、患者に寄り添った診断書を発行してくれる医師ならばよいのですが、交通事故の後遺障害の診断書の書き方が不慣れであったり、医師が患者の事をあまり快く思っていなかったり、診断書を書きこむのが面倒と簡素な内容しか書かれていなかったりすると、後遺障害等級が下がる、もしくは認められない可能性が高くなります。

診断書を書くのは医師にしか認められていないため、弁護士が書くことは出来ませんが、弁護士のアドバイスの元で医師に『後遺障害等級を認められやすい文面の診断書』を書いてもらうことは可能です。

一度認定された後遺障害等級を不服として、再審請求をすることは出来ますが、再審査をしてもらい上位の後遺障害等級に変更されるのは5%ほどとかなりハードルが高いものになりますので、1度の後遺障害等級認定で希望の等級を受けるためにも、事前に弁護士・医師双方への相談は不可欠になります。

後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。

自賠責基準だと慰謝料部分は第1級で1600万円、第2級で1163万円、第5級で599万円、第7級で409万円・第9級で245万円・第12級で93万円・第14級で32万円ですが、
判例基準ですと第1級で2800万円、第2級で2370万円、第5級で1400万円、第7級で1000万円・第9級で690万円・第12級で290万円・第14級で110万円なので、差は3倍近くなります。

 


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