むち打ち症状について

交通事故による受傷の割合の中で、むち打ちはかなりの割合を占めます。

むち打ちが起こる原因は身体に大きな衝撃がかかる事なので、交通事故は車が衝突するため想像以上の大きな衝撃がかかる事になります。

物理的に見ると、衝撃の大きさは『重量×速度の2乗』になります。

つまり、重い車ほど衝撃が大きくなるのですが、速度は2乗で大きくなるため『速さが2倍ならば4倍の衝撃、3倍ならば9倍の衝撃』が加わるため、大きな車が低速度で衝突するよりも、小さな車が高速で衝突する方が衝撃力が高い事もあります。

また、慣性の法則で『停止している物体は停止し続けようとし、運動している物体はそのまま等速度運動を続けようとする』と言うものがあります。

そのため、停止している時に自動車に衝突された場合、身体はそこに留まり続けようとしているのに、外部から押される状態になります。

反対に自動車の運転中に衝突すると、衝突により自動車は減速・停止しようとしているのに、身体は走行速度で動こうとしているため、前のめりの体制になります。

この時、シートベルトをしていない場合、フロントガラスを突き破って外に投げ出されたり、フロントガラスに強かに頭部を打ちつけることがあります。

シートベルトをしている場合、肩から下の体は固定されていますが、首が大きく振られることになります。

そのため、身体に大きな怪我はなくとも、むち打ちを受傷しやすいのです。

身体的な原因からむち打ちの原因を考えると、頭の重量は成年男性で全体重の8%~10%と言われており、平均6~8kgになります。

それほどの重量があるにもかかわらず頭は直径10~20㎝の首の上に載っており、支えている骨は頸椎のみで、その他は首の筋肉で補っている状態です。

しなやかで弾力のある針金に野球のボールを差して、針金の周りに粘土を巻いた状態で、そのボールを強く横から叩いた場合、ボールは左右に揺れますが、交通事故の場合には頭と首に同等のことが起こっています。

しかも、身体全体に自動車がぶつかった場合でも、頭は一番上で重心が一番ずれやすい位置にあり、その重量から大きく振れやすいだけでなく、それを支える首がぜい弱であるにもかかわらず、多数の骨が組み合わさった頸椎の構造上振れやすいため、むち打ちを引き起こしやすいのです。

むち打ちの原因は、後で判明するケースもある

むち打ちは首の筋肉の捻挫(頸椎捻挫)をさすのですが、『首の痛み』の原因は頸椎のずれ・神経の圧迫などもあり、初めはむち打ちと思われていたものが、のちにそれらが原因だと分かる事もあります。

レントゲンやMRIなどの画像で異常が認められず首に痛みがみられる場合、「頸椎捻挫」と診断され湿布や痛みどめで2週間~1か月ほど様子を見るということがほとんどです。

実際、むち打ちは『衝突で急激に首の部分が動いたため、無理な筋肉の伸び縮みで筋肉を傷めてしまった』ということが多いです。

急に無理なストレッチ体操をすると、足や腕などの筋肉が痛くなるのと同じ原理なので、単なる捻挫であるのならば安静にして筋肉が修復されれば治ります。

ですが、1か月たっても痛みが引かない場合には、単なる筋肉の損傷ではない可能性が高まります。

その場合精密検査が行われ、頸椎のずれ・脊髄損傷・神経の圧迫・骨の変形などが見つかれば、『頸椎捻挫』ではなくそれぞれの原因に対する病名がつきます。

しかし、厄介なのが精密検査をしたがレントゲンやMRIなどの画像証拠などが出なかった場合です。

『異常個所がないのに、患者が痛みを訴えている』という状態で、患者の訴えしか証拠がないため、『本当に痛みがあるのかわからない』ということなので、交通事故の加害者側としばしば紛争となることがあります。

日常生活への影響

むち打ちは首の痛みが伴うため、日常生活に様々な支障が出ます。

むち打ちの場合痛みが常にある事もあるのですが、それよりもよくあるのが痛みにより首の可動域が狭まる事です。

首を動かそうとすると強い痛みが伴うため、首を動かすことができないことが多いのですが、人によっては
『顔を右に向けようとすると痛む』、
『頭を左に傾けると痛む』
、『下を向こうとすると痛む』
と言った、特定の方向のみ痛みが出ることも多いです。

普段の生活では物を見る際に、首だけ動かして見回すということをごく普通にしているために、むち打ちであってもその習性が出るため『ついうっかり首を動かして痛みが走る』ことが多く、不意打ちのような痛みに不快感を覚える人も多いです。

むち打ちは首を過剰に曲げたことにより、筋肉や靭帯が伸びきった・伸びて断裂した状態なので、首の筋肉に張りを感じることも多いです。

『腫れあがる』といった見た目で分かる時もありますが、患部に触れてみると筋肉が緊張して突っ張っていることがあります。

常に一方向に引っ張られているような感覚があり、それに逆らって伸ばそうとすると痛みが生じるので、痛みを軽減するために首をかしげたような姿勢になってしまう人もいます。

そのため、姿勢が乱れて体にゆがみが生じてしまい、肩や腰、時として足などにも痛みが生じることがあります。

むち打ちの完治まで期間が短ければ、自然と姿勢も元に戻って行きますが、痛みが長引きゆがんだ体勢が癖になってしまうと、その後の生活でも体の歪みによる痛みが出やすくなります。

「むち打ち」には、安易にマッサージしない方が良い

首のコリと症状が似ているため、首や肩をほぐすような体操やマッサージをしてしまいがちですが、首のコリが血行不良による筋肉の硬直なのに対して、むち打ちは筋肉の損傷つまり『怪我』のことが多いため、逆効果となることがあります。

特に、頸骨のゆがみにより痛みが生じている場合には、下手にマッサージなどをするとゆがみを大きくしてしまうため、医者や整骨医の治療を受けるようにしましょう。

また、むち打ちを受傷してすぐは炎症を起こしているため、炎症を抑えるために冷やし、炎症が治まってから回復を促進させるために温めると言うのが正解になります。

むち打ちの副次的な症状に、頭痛・吐き気・めまい・耳鳴り・倦怠感などがあります。

特に頭痛は首の痛みに次いでむち打ちの症状として現れやすく、人によっては慢性化することがあります。

交通事故以前は頭痛の症状を感じなかった人が、交通事故以降日常的に頭痛が生じるとわかりやすいのです。

しかし、以前から頭痛持ちの人が交通事故を境に
『頭痛が激しくなった』、
『頭痛の頻度が上がった』、
『以前はキリキリとした痛みがこめかみにあったのに、今は頭全体が重く感じて痛い』
と、以前とは性質の違う頭痛が今までの頭痛と並行して現れることがあり、日常的に頭痛に悩まされるといったケースがあります。

むち打ちの痛みに加えて頭痛が加わるため、日常生活に支障が出るだけでなく、吐き気やめまい・倦怠感も同時に現れると立ち上がる事すらできなくなるといったこともあります。

鎮痛剤は、あくまで対症療法

むち打ちで痛みが強い場合には鎮痛剤も処方されるため、頭痛に対しても一定の効果はありますが、鎮痛剤はあくまで一時的に痛みを軽減するものなので、頭痛の根源であるむち打ちによる首の異常を治療しない限り、痛みに悩まされ続けることになります。

交通事故にあった直後は神経が興奮していて、興奮により分泌されたアドレナリンが脳の痛みの伝達をストップしていることが多く、事故から数日たって緊張がほぐれて、ほっと一息ついた時に痛みを感じるということがあります。

そのため、「交通事故にあって病院に搬送された時には、首のむち打ちしかわからなかったけれども、家に帰ってきてからあちらこちら痛い事に気が付いた」と言うのもよくあるケースです。

そのような時には、次回の通院時に担当医に痛みや異常が出た場所を伝え、診察・治療してもらいましょう。


むち打ち症状の後遺障害認定について

交通事故でのむち打ちの後遺障害は、神経症状の有無が焦点になります。

むち打ちに対する後遺障害認定は、他の後遺症に比べて等級の幅が狭い傾向があります。

第12級(自賠責保険金額224万円) ・局部に頑固な神経症状を残すもの

第14級(自賠責保険金額75万円) ・局部に神経症状を残すもの

むち打ちの後遺症の多くは、『痛みがある』、『首が動かない』と言った神経症状ですが、認められにくい傾向があります。

交通事故直後はむち打ちと診断されていたものでも、『レントゲンで頸椎がずれている箇所が認められた』、『MRIで頸髄に損傷個所が見つかり、不完全脊髄損傷である』と言った、医学的な診断証拠がある場合には、『頸椎症』、『頸髄損傷』といった『むち打ち』とは違う病名で後遺障害認定がなされます。

むち打ちの後遺障害については、保険会社は争うことが多い

むち打ち自体は頸部の捻挫であるため、『捻挫だけであるのならば、一定の期間で自然治癒するのが普通』とされているため、レントゲンやMRIなどの医学的な画像証拠がないと、ほとんどの場合で加害者側は反論してきます。

『医学的な画像証拠がない』ということは、『患者が痛みなどの症状を訴えているが、医学的な証拠はないため、患者が嘘をついている可能性がある』と言えるからです。

本当に痛みがあり後遺症に悩まされている患者からすると腹立たしい事だとは思いますが、判例でも『被害者が普通に日常生活を送っているところを見ると、後遺症があると認められない。』、『被害者は加害者に対して思うところがあり、それにより痛みを過大に感じている。』として、後遺症を認めないもしくは後遺障害慰謝料の減額を命じたものもあります。

加害者側に保険会社が介入している場合には特に顕著で、後遺障害認定以前の治療期間の段階でも、「医師からの診断はむち打ちのみで、レントゲンなどでは異常がないと聞いています。交通事故から2カ月も経ちましたので、治療費の支払いは今後しません。」と治療費の打ち切りを言ってくることもしばしばあります。

そのため、むち打ちの後遺障害認定において一番の問題は、『後遺障害等級がどの程度になるか』ではなく、『後遺障害認定がされるかどうか』と言う点です。

医師によっては、「レントゲンなどでは異常がないので、事故からしばらく経っていますし、むち打ちは治っているはずです。

年齢的にも神経痛が出てもおかしくないので、今の首の痛みは加齢によるものでしょう。」と、医師自体が交通事故との因果関係を否定することもあります。

医師がそのような判断をくだす背景には、『後遺障害認定の書類を作成するのが面倒』、『単なるむち打ちと診断しているのに、患者が口を出してくるのが気に喰わない』、『医師と患者の意思疎通が出来ておらず、医師が協力的ではない』、『患者が訴える症状がコロコロと変わり、医師が患者を信用していない』など様々にあります。

しかし、医師が作成した後遺障害認定用の診断書がなければ、後遺障害認定の申し立てすらできないため、いかに医師と連携が取れるかがカギとなってきます。

むち打ちの症状単体での後遺障害認定は難しいので、さらに頭痛やめまい・倦怠感といった症状だけで後遺障害として認められるにはハードルが高いといえます。

そのため、早い段階で交通事故に詳しい弁護士に相談をしてアドバイスを受け、そのアドバイスに沿って医師に働きかける方が、格段に後遺障害認定が受けやすくなります。

後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。

自賠責基準だと慰謝料部分は第12級94万円・第14級で32万円ですが、判例基準ですと第12級290万円、第14級で110万円なので、差は3倍近くなります。


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