首の後遺障害


交通事故における首の受傷率は非常に高いです。

軽微な接触事故でも首のむち打ちを受傷することが多いため、総交通事故数で見ると圧倒的に首の受傷率が高くなるからです。

交通事故で首の怪我と言うと先述したむち打ちを思い浮かべる人が多いのですが、むち打ちのほかに骨折や脊髄損傷・筋肉断裂・咽喉損傷など多岐にわたります。

首は頭と胴体をつないでいるため、神経・血管・食道・リンパ腺など重要な器官が集中しています。

また、成人で体重の1/6の重量がある頭部を支えているため、首に異常があり頭が支えられないと肩こりだけでなく、平衡感覚のずれから身体のバランスが崩れることがあります。

首の障害で一番多いむち打ちですが、首の痛みを総じてむち打ちということが多く、首の痛みの原因は多岐にわたります。

むち打ちの原因で一番多いものは、首の筋肉の損傷です。

足首のねん挫と同じように、可動域を超えた強い衝撃により筋肉が断裂してしまい、痛みを生じるのですが、自己治癒により筋肉の損傷が癒えれば痛みは治まります。

次が、骨のズレによるものです。 骨が本来あるべき位置からずれてしまうと、骨同士が当たったり、骨と骨の間に神経が挟まったり、骨が神経を圧迫したりと、神経に干渉した痛みが生じることが多いです。

骨を本来の位置に治せば治癒していくことが多いのですが、神経自身を傷つけてしまったり、骨が摩耗等により変形してしまったりしていた場合には、それでは完治することはありません。

首の受傷による傷害で最も重症ともいえるのが、脊髄損傷です。

脊髄は脳から尾てい骨まで脊椎(背骨)の中を通っている神経の束で、脊髄から神経が分岐して内臓や四肢などの各器官に伸びています。

脊髄からの神経の分岐のイメージは、脳から脊髄が伸びていて、木の枝の様に脊髄から左右に神経が出ています。 そのため、中心部分の脊髄が損傷した部分から下の神経は麻痺してしまいます。

腰の脊髄を完全断裂した場合には、腰より下の神経が麻痺してしまうため、足が動かない、足の触覚・痛覚・温感・冷感などを感じなくなります。

首の脊髄損傷が脊髄損傷の中でも重症と言われるのは、神経の統率器官である脳に近い首部分の脊髄損傷を受傷したことにより、首より下に脳からの命令が送れなくなり、全身麻痺が起こるからです。

脊髄損傷を受傷した首から下が麻痺したことにより、人によっては自発呼吸が出来ずに人工呼吸器が常時必要になります。

また、自律神経もうまく働かず体温調整がうまくできなかったり、排便・排尿も任意にできなかったり、症状によっては顔面の麻痺も起こり発語や食事も困難となります。

首には食道が通っているのですが、食道部分には大きく分けて3つの役目があります。

1つ目は、呼吸時に口と肺をつなぐ空気の通路の役目。 2つ目は、飲食時に口と胃をつなぐ、経口摂取のための役目。

3つ目は、声帯を震わせて発声する役目です。

交通事故で車の部品や患者自身が骨折した首の骨の破片が、食道を傷つけるということがありますが、事故直後に受傷が認められた場合にはすぐに外科的な処置がされますが、微細なもので気が付かないということがあります。

食道の損傷が大きく縫合で処置しきれないケースでは、食道再建手術が行われることもあります。 交通事故で声帯が傷つくことは稀ですが、声帯が傷ついた場合にはかすれ声、声が出なくなると言った障害が起こります。

声帯が激しく傷ついた場合には、声帯の治療手術や再建手術が行われますが、交通事故以前の声質と変わってしまう事もあります。


日常生活への影響

交通事故で首の障害で起こる日常生活の支障の代表的なものが、『痛み』と言えます。



交通事故の首の痛みの代表的な原因にむち打ちがあります。

人身事故の場合、多くのケースでむち打ちが伴います。

例えば、低速の自動車が歩行者と衝突したといった交通事故の場合で、衝突された歩行者の膝に怪我を負うほかに、衝突の衝撃で頭がふられて歩行者のみならず、運転手もむち打ちを負うことがあるからです。


むち打ちの痛みは、軽い張りのある痛みから、コルセットが必要な激しい痛みまで幅が大きいです。

そのため、むち打ちとはいえ時として、動かすと痛みが生じるだけでなく常時痛みがあり、体を起こすことも困難というケースもあります。

また、激しい痛みが続くのではなく、肩の張りや眼精疲労・頭痛など慢性的な肩こりのような症状が続くことがあり、交通事故前から肩こりの症状があった場合、交通事故から痛みがひどくなっても、交通事故が遠因にあると気が付かないこともあります。

また、首の骨を骨折するなどして、首の可動域が狭まる事があります。

首に軽い痛みもしくは痛みが無くとも、首を左右や上下に向けられないもしくは1方向だけは動かすことができないといった症状が起こる事があります。

リハビリなどの治療により可動域が広がる事もありますが、首の骨に異常がある場合には、あまり改善しないこともあります。

交通事故では、首の外ではなく中の器官の声帯や食道を痛めるケースがあります。

声帯は発声に大きく関係しており、声帯がぴったりと閉まらなくなるとかすれ声になり、大きく損傷すると発声すらできなくなります。

また、声帯が変形することで、交通事故以前と声質が変わり、患者が違和感をおぼえて、うつ病になるといったケースもあります。

食道が傷ついた場合、のどの痛みや呼吸困難・吐き気、食べ物や飲み物を飲みこんだ際に痛み感じたりむせたりします。

食道が傷ついていることに気が付かず、「交通事故後、たまに軽い呼吸困難が起こる。」、「交通事故後しばらくしてから、のどに炎症と痛みが起こり、腫れてきた。」と言った症状が出たので詳しく検査をしてみると、食道に穴があり空気がそこから漏れていたり、その穴に食べ物が入り込み腐敗して炎症を起こしていたりという症例もあります。

首には頸動脈という大きな血管が通っており、リンパ液が流れるリンパ腺もあります。

交通事故により、直接的に血管やリンパ腺が傷つけられるほかに、骨の変形や筋肉の腫れにより圧迫されて血液やリンパ液の流れが悪くなることがあります。

頭への血流量が減ると慢性的に頭部が酸欠状態となるため、脳貧血を起こしやすくなります。

酸欠だとめまいや気絶、吐き気、思考能力や判断能力の低下などの症状があるのですが、更年期や高齢期の愁訴と似ているため、『年齢的なもの』と患者自身も交通事故による首の受傷が原因だと気づかないこともあります。

また、リンパ液は身体の老廃物を回収して尿などで廃棄するほかに、免疫作用に深くかかわりがあります。

リンパ液の流れが滞ると、老廃物が溜まりやすく、免疫力が低下します。

首のリンパ節の障害により頭部へのリンパ液の循環に支障が生じると、老廃物が溜まりやすくなるため、顔のむくみや顔色の悪さが表れます。

首より上には眼・鼻・口・喉と言った粘膜があり、細菌やウィルスは粘膜に付着し侵入してきます。

通常ならば、血液やリンパ液中の白血球などが細菌やウィルスを殺して、体内での増殖を防ぐのですが、血液やリンパ液の流れが良くないと、十分に免疫作用が働かなくなります。

そのため、『風邪をひきやすくなった』、『疲れやすくなった』、と言った症状が現れてきます。


首の後遺障害認定について

交通事故での首に関係する後遺障害は、むち打ちと言った比較的軽度なものから、脊髄損傷で全身麻痺と言ったものまで幅広くあります。

そのため、後遺障害等級も最高の第1級から最低級の14級まで大きく幅があります・

首自体の後遺障害であるむち打ちや脊髄損傷などのほかに、首にある喉や頸動脈と言った血管、リンパ腺の異常などを起因とする障害もあるため、直接的な首の痛みではない愁訴などといった神経症によるものも、後遺障害として認められることがあります。

首の後遺障害に関係する後遺障害認定の要件は、細かく条件付けされています。

介護を要する第1級(自賠責保険金額4000万円) ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 介護を要する

第2級(自賠責保険金額3000万円) ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 第1級(自賠責保険金額3000万円) ・咀嚼及び言語の機能を廃したもの

第3級(自賠責保険金額2219万円) ・咀嚼又は言語の機能を廃したもの ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

第4級(自賠責保険金額1889万円) ・咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

第5級(自賠責保険金額1574万円) ・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第6級(自賠責保険金額1296万円) ・脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの ・咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

第7級(自賠責保険金額1051万円) ・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第8級(自賠責保険金額819万円) ・脊柱に運動障害を残すもの

第9級(自賠責保険金額616万円) ・咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの ・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

第10級(自賠責保険金額461万円) ・咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

第11級(自賠責保険金額331万円) ・脊柱に変形を残すもの

第12級(自賠責保険金額224万円) ・局部に頑固な神経症状を残すもの

第14級(自賠責保険金額75万円) ・局部に神経症状を残すもの

首に関係する後遺障害に関しては、脊髄損傷や声帯損傷による言語障害、脊柱の骨折変形などでレントゲンやCT・MRIなどの画像があり診断が下りたものに関しては、認められやすい傾向があります。


その一方で、神経症に関しては医学的な画像証拠が伴わない場合、患者自身が訴える症状と医師の判断が重要視されるため、後遺症が認められにくい、もしくは認められないこともあります。

特に加害者側に保険会社が付いている場合には、後遺障害等級が認定されたとしても、後遺障害等級を下げたものや、もしくは認めないという内容で裁判にて争われることもあります。

痛みの感じ方は個人差が大きく、また、交通事故の被害者が『加害者憎し』という心理から痛みを過剰にとらえるケースもあるため、被害者救済を第一と考える裁判所であっても、被害者の言い分を一方的に受け入れて、被害者に有利な判決が下りるとは限りません。

また、首に関する神経障害は、肩の張りや痛み・めまい・頭痛など、持病の悪化によるものや加齢による症状と重なるところもあるため、被害者が高齢であったり、既往症ですでにこれらの症状があったりした場合には、後遺障害として認められにくくなることもあります。

後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。

自賠責基準だと慰謝料部分は第1級で1100万円、第2級で958万円、第4級で712万円、第9級245万円・第11級で135万円ですが、判例基準ですと第1級で2800万円、第2級で2370万円、第4級で1670万円、第9級690万円、第11級で420万円なので、差は3倍近くなります。


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