手指の後遺障害について

歩行者が交通事故により受傷した場合、足や腰など自動車本体が接触した以外に、手首より先の手指部分を受傷することが多いです。

人はとっさに物が飛んできた場合は避けるか受けとめるのですが、どちらも無理そうであれば自然に防御態勢を取ります。

特に頭部を手で守ることが多く、本能によるものなのでどうしても腕や手を受傷しやすくなります。

また、衝突した後とっさに受け身を取る際にも、手を先に地面に着こうとするため手を骨折するというのは、交通事故に限らず高齢者の転倒事故などではよくみられます。

手指の障害で一番重いものは、欠損つまり切断や壊死などで無くなることです。

一昔前に比べて外科や神経科・整形外科技術の技術が格段に上昇しているため、鋭利に切断された場合には接合手術でもとに近い状態までも戻せることもありますが、神経の接合が難しいケースもあります。

手指の骨は乳児で300本ほどあり、個人差がありますが成長の過程でくっついたりするためおおよそ206本前後になります。

手指は細い骨が集まって形成されているため、ある意味一番骨折しやすい部分と言えます。

そのため、軽い接触事故でも指を骨折したり、ひびが入っていたりすることがあります。

欠損や骨折の場合、レントゲンや直接の目視で確認できますが、一番厄介なのが筋肉や神経系の障害です。

指を曲げる場合、屈伸筋と言われる筋肉が腕から指の先まで通っているのですが、筋肉が断裂されたり損傷してしまうと、指が曲げられなくなったり、曲げられてもしびれが生じると言った症状が出ます。

指の屈伸筋には指ごとに深指屈伸筋と浅指屈伸筋があり、深指屈伸筋だけが損傷した場合には指は握れますが指の第一関節を曲げることができません。

深指屈伸筋と浅指屈伸筋の両方が損傷した場合には、握れず指も曲げることができません。

そのため、「交通事故でサイドミラーが腕にぶつかって怪我をしたけれども、中指だけが動かなくなった。」ということもありえます。

交通事故直後であれば屈伸筋を接合する手術が行われますが、切断部分が潰裂していたり、切断して時間が経っていたりする場合には、他のところから腱を持ってくる移植手術が行われるのが一般的です。

神経の障害による手指の痛み、しびれが多い

一番多いのが神経系による手指の障害です。

神経系に障害があると、指先のしびれや麻痺と言った末端に障害が現れやすくなります。

これは、神経は脳から脊髄を通ってそれぞれの器官に伸びているのですが、脊髄に近い神経に障害を生じると、その神経を使っている器官全体に障害が出るからです。

例えば、右わきの神経損傷が起きた場合には右腕全体に障害が出ますが、右手首の神経損傷ならば右の手指のみに障害が出ることがほとんどです。

しかし、手がしびれて物が持てないという症状が出て、右腕を詳しく調べても異常がなく、脊髄に近い部分の神経を調べてやっと指の神経部分に断裂が見つかるということもあります。

医学的な映像所見や神経反射テストで神経の異常が認められる場合は、医師もそれに基づいた診断をくだしてくれます。

ですが、このように手指の神経的な障害が起こっている部分が、医学的な映像所見などで認められる割合は低く、いわゆる神経痛と言うくくりで診断されることが多いです。

そのため、患者から訴え出た症状から医師が判断するため、症状や交通事故の状況などから、「加齢による相当の症状」、「オーバーな患者からの訴え」と医師から判断されることがあり、ひどい場合には詐病と判断されることもあります。

神経障害に関しては医師により大きく判断が違うこともあるため、医師の診断に納得いかない場合には、交通事故の受傷を専門として診察している診察科でセカンドオピニオンをすることも考慮しなければいけません。

日常生活への影響

日常生活を送る際に、手指が果たす役割は非常に大きなものです。

スイッチを押す、扉を開ける、箸を持つ、コップで水を飲むと多岐にわたるため、交通事故により手指が自由に使えなくなった時の不便さは、より困難と感じると思います。

重篤な手指の欠損の中でも一番重篤な手首から先が無い場合には、「握る」「つかむ」という行為が出来ないため不便さをより感じます。

一方の手指に不自由がない場合でも、欠損した手指の方が利き手であった場合には、「字を書く」「箸を持つ」という動作を利き手でなかった方で行えるように練習しなければいけません。

そのため、利き手を変えるというリハビリに慣れない人もおり、スプーンだけで食べられる簡素な食事になったり、時には食事自体が煩わしくなり食べなかったりといったようなことがあります。

両方の手が欠損した場合には、日常の生活を送るために介護人がついたり、補助するための器具を使用したりすることもありますが、以前よりは自分で出来ることが狭まるために、それをストレスと感じる人もいます。

またまれにですが、無くなった手指があるかのように感じる『幻肢』と言うものがあります。

手首より先がないのにあるように感じて物をつかもうとしてしまうというレベルならば軽度なのですが、無い部分に痛みや熱を感じて苦しむ事があります。

これは神経伝達の異常によるものだとされていますが、患部を治療するという一般的な治療方法が行えないため、鎮静剤などで緩和する方法が取られます。

筋肉や腱の断裂により手指の運動障害が出ている場合には、外科的な手術をしない限り根治しないため、日常生活を繰り返して治るというものではありません。

手指の運動障害ありきの前提で日常生活を送るため、慣れていくという表現の方が近くなります。

手術をした後も、長期間のリハビリが必要

仮に手術を行ったとしても、手術後も最低で3か月は回復に応じた機能回復運動のリハビリプログラムをこなさなければいけません。

また、リハビリ後に100%交通事故以前の機能が回復するとは限らず、握力の低下や握った状態での持続時間の低下などがあります。

神経系の障害で手指に障害が出ている場合には、個人差が大きいため一概にすべての人に支障が出るとは言えません。

軽度のしびれや痛みであれば、多少の違和感を持ちながらも日常生活が送れますし、しびれや痛みに対して慣れていく「慣化」という現象が起き、違和感が薄らいでいきます。

他にも、「寒い時だけ」、「朝起きた時だけ」と言った限定的に起きる場合には、患者自身が症状が出ること予測できるため、痛みなどを軽減できるということもあります。

しかしながら、交通事故で手指に違和感を訴える方は、継続的に一定以上の痛みやしびれがある方が多く、日常生活に支障があります。

「コーヒーカップの柄を持ったら親指に激痛がはしり、カップを落としてしまった。」、

「指がしびれて震えるため、テレビのリモコンなどの小さなボタンを押せない。」
といったことがあります。

なかには「手指の感覚が麻痺しているため、指を包丁で切っても、フライパンで火傷しても気が付かず、化膿するなどの感染症になってからようやく気付く。」と言ったものもあり、糖尿病などの持病がある場合には怪我の部分から壊死して、切断しなければいけないというケースもあります。

特に指先は感覚器官としての役割があり、背中などに比べて触覚の認知感度は数十倍あります。

指先に神経障害が起きると、物を持ったり触ったりした際に「鉄の冷たくてかたい感触」、「毛糸を触った時の温かく柔らかい感覚」といった、指先から感じる微妙な感覚の区別がつきづらくなります。

こういった感覚が鈍くなると、指先の細やかな動作が鈍くなります。 特に箸を使うと分かりやすいのですが、箸から伝わる持った物の硬さが分かりづらくなり、力加減を間違えて豆腐を砕いてしまったり、力が足りず食べ物をポロポロと落としたりしやすくなります。


手指に関する後遺障害認定について

交通事故での手指に関する後遺障害は、両指を全部失ったものから、親指及び人差し指以外の1指が屈折できなくなったものといった比較的軽度のものまで、第3級から第14級まであります。

第3級(自賠責保険金額2219万円) ・両手の手指の全部を失ったもの

第4級(自賠責保険金額1889万円) ・両手の手指の全部の用を廃したもの

第6級(自賠責保険金額1296万円) ・1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの

第7級(自賠責保険金額1051万円) ・1手の親指を含み3の手指を失ったもの、または親指以外の4の手指を失ったもの ・1手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの

第8級(自賠責保険金額819万円) ・1手の親指を含み2の手指を失ったもの、または親指以外の3の手指を失ったもの ・1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの、または親指以外の4の手指の用を廃したもの

第9級(自賠責保険金額616万円) ・1手の親指、または親指以外の2の手指を失ったもの ・1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの、または親指以外の3の手指の用を廃したもの

第10級(自賠責保険金額461万円) ・1手の親指、または親指以外の2の手指の用を廃したもの

第11級(自賠責保険金額331万円) ・1手の人差指、中指または薬指を失ったもの

第12級(自賠責保険金額224万円) ・1手の小指を失ったもの ・1手の人差指、中指または薬指の用を廃したもの ・局部に頑固な神経症状を残すもの

第13級(自賠責保険金額139万円) ・1手の小指の用を廃したもの ・1手のおや指の指骨の一部を失ったもの

第14級(自賠責保険金額75万円) ・1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの ・1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの ・局部に神経症状を残すもの

補足すると、「失ったもの」というのは文字通り交通事故などで切断されて無くなったことを差し、「用を廃したもの」は麻痺で動かなかったり骨折で変形したりして、もともとの役割を果たすことができなくなったという意味です。

親指が使えるか、使えないかは、重要

さらに詳しく見ると、親指の欠損及び用を廃したものに関しては、より重い後遺障害認定がされています。

手の動きを観察してみればわかるのですが、物をつかむ際に親指を使わないでいると、力が入らない上に非常に不安定になります。

特に現代でしたらスマホを持った際に親指がなければ操作が出来ないことが多く、親指が無い方の手で持って反対の手で操作する場合でも固定感が下がるため、試してみれば親指が無い事の不便さがより実感できると思います。

手指の後遺障害認定において、欠損である場合には争点なく後遺障害認定が受けられることがほとんどなのですが、麻痺や神経障害などで「用を廃した」と言う場合には、医師の診断書が大きく影響します。

患者本人は麻痺であまり動かないので「用を廃した」指に含まれると思っていても、医師からすれば指の可動域から「用を廃したとまでは言い難い」と診断するケースがあるからです。

その場合、第12級の「局部に頑固な神経症状を残すもの」や第14級の「局部に神経症状を残すもの」の、神経症状の障害として扱われることが多いです。

また、日常生活に支障がないくらいに手が使えるが、軽度のしびれや麻痺・痛みがある場合には、「日常生活に支障がない」という点を重視されてしまい後遺障害認定されなかったり、一番軽い第14級の「局部に神経症状を残すもの」として認定されたりすることもあります。

後遺障害認定されるか否で、後遺障害慰謝料が支払われるか変わってくるのですが、弁護士を通じて請求する場合には判例基準で請求するため、自賠責基準に比べると大幅に増額します。

自賠責基準だと慰謝料部分は、第3級で829万円、第9級245万円・第14級で32万円ですが、判例基準ですと第3級で1990万円、第9級690万円、第14級で110万円なので、自賠責基準が最低限の金額なのがわかります。


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