独身の男女というと、そこに繋がる家族は少ないので、どうしても「安い」イメージがあると思います。
子供については、逆に「まだまだこれからなのに…」と、誰しも同情の気持ちを抱いてくれるようで、逆にもっと高い慰謝料をとってもいいのでは、と思うらしいですね。
しかし、これもまた何度も話していることなのですが、人の命の重さに変わりはありません。
交通事故で子供を失った親の悲しみを思えば確か辛いですし、独身だからとか、そんなことは一切関係なく、必ず悲しみに暮れる家族や友人がいるはずなのですから。
では、判例を見てみましょう。
○神戸地裁判決(H3年8月10日) 男子短大生(20歳)の単身者、本人分2000万円、父親200万円と母親に250万円、妹の分として50万円の合計2500万円が認定されています。
○神戸地裁判決(H13年9月19日) 男性無職(42歳)、身体障害者2級の交通事故死について、死亡慰謝料2400万円を認定しました。
○名古屋地裁判決(H14年6月26日) 男性会社員(45歳)単身者、父(72歳)名義の株式会社に父と共に稼働していることなどを考慮して死亡慰謝料2500万円を認定。
○大阪地裁判決(H14年10月30日) 就職後一家を支えることになっていた男子大学生(23歳)の死亡慰謝料を、加害者の事故後の態度等も考慮のうえ、本人2400万円、母親分として200万円の合計2600万円と認定しました。
○大阪地裁判決(H14年2月7日) 7歳になる小学生の女子児童の死亡事故について、本人分として1800万円、近親者に750万円、計2550万円を認定しました。
○東京地裁判決(H14年7月30日) 5歳になる女児が、進路安全の確認を怠って進行した大型ダンプカーに轢き殺された事件で、本人分として2000万円、両親に各200万円と合計2400万円を認定しました。
十分な慰謝料の獲得のためには、高松の弁護士の力もぜひ活用してください。
胎児の交通事故死も補償の対象となるのか?
人の命ということについて、ここ何回か文章の端々に書き続けてきましたが、人の命には、重さでも大きさでも何も違いないのだということ。これだけは考え違いをしてはいけません。
そうした意味で、「胎児」の交通事故死についても、賠償責任の対象となるのかというご質問がありましたので、回答したいと思います。
母親のお腹の中にいるだけで、人の命としては最も大きさが小さいかも知れませんが、それは形の上での話であって、家族にとっての存在の大きさ・そして重さは、すでに生まれている人間としての「人」と同じものです。
それでも、人と同じ扱いではなく、かなり低い慰謝料設定になっています。
任意保険の支払基では、準妊娠3ヶ月、12週以内であれば25~50万円、妊娠4ヶ月、13週~6ヶ月、24週が50~80万円、妊娠7ヶ月25週以上が80~120万円というのが基本です。それが地方裁判所支払基準になると、かなり変わってきます。判例をみてみましょう。
○高松高裁判決(H4年9月17日) 出産予定の4日前の事故!なんという災難でしょう。これによって死産したことに対して慰謝料600万円が認定されました。
○大阪地裁判決(H8年5月31日) 交通事故の衝撃で妊娠2ヵ月の胎児が死亡。胎児についての慰謝料150万円が認定されました。
○横浜地裁判決(H10年9月3日) 妊娠27週の胎児の死亡を事故の衝撃によるものと認定。胎児死亡の慰謝料250万円を認定しました。
胎児への慰謝料について保険会社に異議があるという方は、高松の弁護士へぜひご相談ください。